第13章 オンナノコの初任務
──翌日
「あれ…まだ三十八度ですか…。ちゃんと解熱剤飲みましたか?」」
「飲みましたよー。」
「月経痛はどうですか?」
「それはもうだいぶ良いです。」
「…なのにまだ熱はあるなんて変ですね…。解熱剤変えてみますか?」
「んー…そうですね…。」
しのぶさんの回診での言い訳が苦しい。
月経痛は良くなっているのに解熱作用もある痛み止めを飲んでるのに熱だけ下がらないなんて医学的には不可解なことが起こっているからだ。
自分がしのぶさんの立場でも同じように訝しむだろう。
この熱は産屋敷様とあの隊士の人に使った能力の代償によるものだ。
産屋敷様だけであればきっと今日の朝には下がっていただろうが、致し方なかったとは言え力を使いすぎた感は否めない。
「強い解熱剤持っています?」
「家に帰ればあると思うんですけど…。」
「それなら後でここにあるものを持ってきますので飲んでみて下さい。」
「お手数かけてすみません…。」
「いえいえ、あとで宇髄さんがいらっしゃると言っていましたけど、くれぐれも無理しないようにしてくださいね。絶対に横になっていてください。」
なかなか圧強めにしのぶさんに念押しをされるのでコクコクと頷き、顔を引き攣らせた。
しのぶさんと宇髄さんは仲は悪くないと思うのだが、根本的な性格が違いすぎて…よく揉めてる気がする。
それでも宇髄さんの顔が見えるのは嬉しい。
昨日の目が覚めた時に会ったきり、その夜またすぐ任務があったらしくて丸一日会えていない。
忙しいのだから会えないのは仕方ないが、彼がいると漠然とぽわんとした安心感で顔が緩んでしまう。それは同じ屋根の下にいると言うだけでもまるで彼に守られているような気分にさせるのだ。
「それから食事をちゃんと摂って下さい。フラフラするならあおいに来てもらいますので食べさせてもらって下さいね。体力低下すると熱も下がりにくくなりますので。」
「は、はぁい…。すみません。」
しのぶさんに見抜かれていた通り、食べたくても起きていると熱で頭がフラフラして半分もたべられない。
そのまま横になっているとウトウトして爆睡してしまうため、碌に食べていないことになる。
情けない自分にため息を吐くと窓の外に目を向ける。外に飛んでいる鳥が随分と自由に感じて羨ましくなった。