第13章 オンナノコの初任務
「何だ、手短に話せ。」
こっちはほの花のことで頭がいっぱいだと言うのに知らねェ野郎の話なんか聞いてる暇なんてない。心の中でそんな苦言を呈してみるが、頭を下げたまま若干震えているその隊士を見るとこちらが悪いことをしているようで居心地が悪い。
「あ、あの…神楽さんのことで…。」
しかし、その隊士からほの花の名前が出された瞬間目を見開く。
ほの花のことならば話は別だ。
過去まで欲しくてたまらない俺からすれば今日の任務の話が聞けるならば喉からも手が出るほど欲しい情報だ。
「お前はほの花と今日の任務が一緒だった奴か?」
「は、はい!そうです!村田と申します!」
「そうか。じゃあ、村田。派手に手短にな。俺は早くほの花の顔が見てェんだよ。」
「す、す、すみません…!あの、神楽さんのおかげで今日の鬼狩りが成功したようなものなのでお礼を…と思いまして…!ちょ、直接会っては言えなさそうだったので…!」
ほの花のお陰で?
この村田という男がどれほどの強さなのかは知らねェが、俺にこんなにビクビクしてるんだから階級は低いだろう。
それよりもほの花のお陰でというところに少しだけホッとした自分がいた。
鍛錬をしてきた身としてはほの花がちゃんと実戦で戦えるようになっているのかという部分も師匠の立場としては気になっていたところではある。
しかし、そんな不安をこの男に悟られるのは些か悔しいのでフンと鼻を鳴らす。
「当たり前だろ。俺の継子だぞ。まぁ、どんな戦いだったか聞いてやらんこともねぇけど。」
「(め、めちゃめちゃ気になってるぅーーー!でも、怖くてこの場から動けないーー!)あ、え、えと…」
ビクビクしながらも鬼狩りの様子を丁寧に教えてくれた村田という男には感謝している。
ほの花の初任務の様子を第三者目線から知ることはいくら俺でも難しい。
ほの花のことだから謙遜して、俺の鍛錬のおかげだとか言って俺のことを褒め称えるだけ褒め称えてちゃんとした事実は見えてこないだろう。