第13章 オンナノコの初任務
温かいなぁ。
すごーく、すごく。
お陽さまのようなポカポカした温かさ。
どこかで感じたことあるや。
どこでだっけ?
ああ、そうだ。宇髄さんに初めて会った時に感じた温かさだ。
あの手の温もりと同じ。
ふわふわとした意識の中
「…ほの花。」と呼ぶ声がやけに鮮明に聞こえた。
その声が大好きな人の声だったから、私はそこに意識を引っ張られるように目を開くと知らない天井が目に入る。
「…気がついたか。」
その声でベッド際にいた宇髄さんに気付いて慌てて目を向けるときっと物凄く心配させたのだろう。目が合うとホッとしたような顔になった。
私の手は宇髄さんの大きな手に握られていて、ずっと手を繋いでくれていたのかもしれないと思うとジンと胸が熱くなった。
「は、い…。あ、あれ?」
「月のモノ、だって?いつも倒れるほど酷かったのか?ったく…よく鬼狩りになんて行けたな。」
しのぶさんに聞いたのだろう。お腹の痛みはだいぶ和らいでいてお腹の上には湯たんぽが乗せられていた。
「いつもは…そんなこと、ないんです、けど…実は此処にきてから数ヶ月ずっと止まってて…。久しぶりに来たから体がビックリしたのかもしれません…。お腹痛過ぎて死ぬかと思いました…」
思い出すだけでもあの痛みは二度と経験したくない。
「…そうか。じゃあそのせいかもしれねぇけど、お前熱も高いから暫くここで静養したほうがいいってさ。」
「そ、そうなんですか…。」
すぐに帰れるかと思っていた私は宇髄さんの言葉に愕然とした。
此処が嫌なわけではないが、宇髄さんに抱きしめられて寝ると安心して眠れるから家に帰りたかったのだ。
「本当はさ…。」
「え?」
「…本当は起きたら無理しやがってってこっぴどく叱ってやろうと思ってたのに顔見たら何も言えねぇわ。…よく頑張ったな。ほの花。他の隊士から話は聞いた。さすが俺の女だ。」
そう言うと優しい顔で頭を撫でてくれるから嬉しくなって布団を半分被り、ニヤける口元を隠した。
宇髄さんの言葉が身体中に染み渡って陽だまりのようにポカポカと温かくて、疲れも痛みも全てが溶けていくようだった。