第13章 オンナノコの初任務
──胡蝶邸
しのぶさんに怪我をした隊士の状況説明をして応急処置内容を伝えるとすぐに診てくれた。
朝早いのに胡蝶邸ではこういうことが日常茶飯事のようで常時いる医療班の人や看護をしている人が昼夜問わず働いている。
此処によく遊びにきている人間としては普段何気なく会話をしている人たちが一生懸命に働く姿は凄く美しく見えた。
鬼殺隊は隊士だけではない。こういう人たちや隠…いろんな役割の人に支えられて成り立っているのだ。
その様子をぼーっと縁側で眺めていると、トントンと肩を叩かれたので、慌てて後ろを振り向くと呆れたような顔をしたしのぶさんがいた。
「さて、次はほの花さんです。怪我はなさそうですけど、酷い顔色ですよ。」
声をかけられた途端、緊張の糸がプツンと切れたようで私はその場に倒れ込んだ。
「ほの花さん!?大丈夫ですか?!しっかりしてください!!」
「しのぶ、さん…、おなか、いたくて…。」
「お腹…?外傷はないようですが…。」
「つ、月のモノ…で」
「なるほど…、すぐに体を温めないと…。」
「…うずいさん、に、あいたい、…。」
「あとで連絡しておきますから、…って、熱もあるじゃないですか!」
体に触れて私の体が熱いことに気付いたしのぶさんがただの月経痛じゃないことを悟ってくれたようで慌てた声で誰かに何かを指示してくれている。
ちゃんと自分の体の状況を説明しないといけないのに瞼はどんどん重くなっていく。
鮮明だったしのぶさんの声もどんどん遠くなっていき、何も聞こえなくなると同時に目の前が真っ暗になった。
折角鬼を倒したのに、宇髄さんにまだ褒めてもらってない。
ちゃんと報告したかったのに…。
継子として恥ずかしくない戦果をあげたかったのに終わりがこれでは情けないことこの上ない。
私の意識はそこで途絶えた。