第13章 オンナノコの初任務
怪我をした隊士の応急処置を終えると、その隊士を別の隊士が背負い、胡蝶邸へ向かっている。
何とか倒れずに済んでいるがお腹が痛すぎて意識が朦朧としてきた。
駄目だ…。能力の反動には効かないが月経痛には痛み止めが効くはずだから今飲もう。
懐から薬箱を出すと痛み止めを取り口に含む。この場に水分などないし、水で流し込むことは出来ないので口腔内に苦みが広がる。
(…うぇっ…まっずー。)
自分で調合した薬だがあまりの不味さに顔を歪ませる。
「神楽さん、本当に大丈夫?どこか怪我をしたんじゃない?」
隣を歩く村田さんがそう心配そうにこちらを見てきたので慌てて首を振る。
怪我はしていない。本当に。
「いえ!怪我はしてないんですけど…ここに来る前から腹痛でして…。すみません。ご心配をおかけして、今薬を飲みましたので大丈夫です。」
「そうだったの?!それなのによく鬼を斬れたなぁ!」
それは私も思う。
今思えば本当に危ない状況だった。集中力が途切れていたら死んでたかも…と思うと身震いをした。
「…宇髄さんのおかげです。厳しい鍛錬をしてくれていたので…。」
「音柱様って…神楽さんに厳しくできるのか?」
「………はい?え、そりゃぁ継子ですから。」
「え、えと…付かぬ事聞くけど、君って…その、音柱様と…そういう関係、だよね?」
「んええっ?!な、え、…?!」
まさか一般隊士にまで宇髄さんとの関係が知られているとは思っていなかったので後退りするほど驚いた。
「ここだけの話、専らの噂だよ。神楽さんに少しでも馴れ馴れしくしたりすると音柱様に死ぬほど睨まれるって。だから最初、音柱様はいないか聞いたんだ。万が一、こうやって話してるのを見られたら俺も血祭りに上げられるかもしれないよ…。」
村田さんの言葉に何も言い返せなかった。
だって宇髄さんならやりかねないから。
機嫌が悪いと正宗たちにだって嫉妬全開な時もあるし、町に行こうものなら任務があっても付いてこようとするのを毎回宥めるので大変なのだ。