第13章 オンナノコの初任務
「神楽さん!良かった…!無事だったんだね…?ひょっとして鬼がいなくなったのって…」
重い体を引きずるように他の鬼殺隊士の元に向かうと村田さんが声をかけてくれた。
冷たい雨が体を容赦なく痛めつけてくる。
「殆ど血気術による幻影のようなものらしくて本体の首を斬ったらいなくなりましたね。良かったですー。」
「そうか…!君が斬ってくれたのか…!ありがとう!今、怪我人の手当てをするところなんだ。神楽さんは怪我してない?」
「え?!怪我をされた方がいたんですか?!私は大丈夫です…!」
そう、怪我はしていない。
体調は最悪だけども。
しかし、怪我をした人がいると聞いて余計に血の気が引いた。
私がモタモタしていたからあの量の鬼を少ない人数で相手をしなければいけなくなってしまったのだ。
体調不良のせいでかなりモタついたのは事実だから。
「村田さん、怪我された方はどちらに…?!私、傷薬とか一式ありますし、薬師なので手当てします!」
「あ、ああ…!そうだったね。医療班も来ていないからお願いしようかな。物陰に隠れてもらっているんだ。」
そう言うと怪我をした人が隠れているところまで案内をしてくれる。
ドロッと流れ出る経血が夥しい量なのはきっと久しぶりの月経だからだろうが、兎に角、下腹部が内側から針で滅多刺しにされているように痛い。
腰が痛いのは月経なのか、昨日の宇髄さんとの情交によるものなのかは定かではないが、歩くたびに全身が悲鳴を上げてる。
前を歩く村田さんを見ながら前屈みになって歩くなんてみっともない姿に情けなくて肩を落とす。
「…ん?あれ、神楽さん大丈夫?なんか前屈みだけど…どこか痛い?え、怪我してない、んだよね?」
「してません、してません!それは大丈夫です。気にしないでください。」
「え、ええ…、でも…。」
「大丈夫ですから。行きましょう。こっちですか?」
「あ、う、うん…。」
折角、宇髄さんの継子として戦果を上げたと言うのに何て締まらない格好なのだ。
かっこよく宇髄さんのところに帰りたいと言うのに。
全身に脂汗が滴る気もするが、冷たい雨でそれが雨なのか汗なのか分からなくなっていた。