第2章 興味本位
ほの花の体調不良も明らかになったため、早めにお開きになった歓迎会。
いつも四人で住んでる家が賑やかになったことはなんだかんだであの三人も嬉しそうで良かったと思う。
まぁ、暴走気味で逆にほの花達に世話をかけた気もしねぇでもないが。
少し前まで騒ぎ放題だったせいか自室の静けさが妙に気になる。もう全員が風呂に入って寝床に入った頃だろう。ぼーっと布団の上に寝転がり天井を眺めていると屋根でカタッという音がしてとび起きる。
屋敷に何者かが入れば気配でわかるが、そんな気配はなかった。……ということは家の中にいた人物が屋根に登った…?
こんな時間に?
外は秋も深まってきた頃で肌寒さを感じる時季だ。
酒飲んでた誰かが酔い覚ましのために涼んでいるのかと思ったが、ゆっくりと体を起こすと縁側に続く襖を開けて、屋根に向かって飛び上がった。
「わぁっ!!び、…っくりしたぁ…!」
屋根に到着するや否や悲鳴のようなほの花の声にこちらが驚いた。夜着に羽織を一枚着ただけの薄着で屋根瓦の上に腰を下ろしていた彼女に呆れてため息を吐く。
「はぁ…あのなぁ、おまえ、仮にも体調不良なんだから大人しく布団で寝ておけよ。」
「す、すみません…!あまりに星が綺麗だったので…つい…!」
そう言われて見上げた星は確かに綺麗だが、見慣れた景色でもある。これからここに住むわけだからわざわざ今日見ないでもいいだろう。
「風呂入ったんだろ?湯冷めするぞー。」
「…え、えーっと…う、宇髄さんです、よね?」
「は?当たり前だろ。」
おいおい、今度は記憶喪失かよ。コイツ、大丈夫なのか?と本気で心配しかけた時、ほの花がまじまじと俺の顔を覗き込んできたので少しだけ仰け反った。
「いやぁ…声で分かったんですけど、髪下ろすとまた雰囲気が…。益々美丈夫なので見惚れちゃいましたよー。ふふ。」
そして、いきなりのほめ殺しにより俺の思考は完全に止まった。