第13章 オンナノコの初任務
「…よく此処が分かったな。お前は柱じゃないだろ?雑魚のくせになかなかやるじゃないか。」
この鬼には自我がある。
ピシリと感じる殺気に先程斬った鬼とは比べ物にならないほどの闘気を感じた。
足を地面につけて踏み締めるとソイツに向き合った。
「…あなたが本体ね。雑魚かどうかは戦ってみて決めてもらえる?」
言い終わるや否や私は地面を蹴って鬼に向かって舞扇を振り下ろすが、大鎌のような武器に止められる。
力は宇髄さんほどないが、私よりはある。
速さも宇髄さんより遅い。
身のこなしも宇髄さんより遅い。
──陰陽道奥義 式神 朱雀
舞扇を擦り付けると赤い炎を燃やしながら大きな朱雀が鬼に向かって飛びかかっていく。それぞれの式神は一度出すと陰陽師の指示があるまでその場に留まるため、共に戦える。
目標を確認すると朱雀は勝手に攻撃をしてくれるので、二人がかりで戦っているような状態になる。
朱雀の攻撃を受けつつ、私の舞扇を受けるのは骨が折れるようで舌打ちをして後退していくが、後ろに下がったと同時に血気術を使われて幻影の鬼が増えてしまった。
「…チッ、キリがないっ!早くアイツの首を斬らないと…!(…私の体力がもたない…!)」
ふと違うことを考えてしまうと自分の体の不調を思い出してしまい、目が眩む。
頭を振って幻影の鬼に向き合うと朱雀が攻撃しているところに両方の舞扇を振り下ろして、薙ぎ倒した。
幻影に惑わされるな。
本体の首だけを見ろ。
気づけば私の後ろにも幻影の鬼がわらわらと湧いている状態。
まさに四面楚歌。
しかし、これは幻影だ。
本体が此処にいるのだから攻撃を受ける前に吹き飛ばして本体にたどり着くしかない。
──陰陽道奥義 五行の調べ
陰陽道は自然界の力を借りることができる。舞扇に仕込んである陰陽札が発動すると自然の理の水・火・木・金・土の能力が宿る。
五芒星を天に描くと私は舞扇を幻影に向かって吹き飛ばすように振り下ろした。