第13章 オンナノコの初任務
全速力で走ってきた私たちは町に足を踏み入れると気配を探るために耳を澄ませる。
村田さんの情報は複数の鬼がいると言うことだけ。
気配を探っていると異様な空気が漂ってくるのがわかり、再び走り出す。
「え、神楽さん?!」
「こっち!こっちにいます!」
「何で分かるの?!」
「勘ですーー!」
陰陽師としての能力なのか分からないが鬼の場所が分かる。五芒星の首飾りが導いてくれるような気がした。
額に浮かぶ汗を拭い取ると吸い寄せられるようにそちらに向かった。
すると、走り出して数分で目の前に突然飛びかかってきた物体に慌てて距離を取った。
「…人間…食う…、人間…。」
自我がない…。
鬼としてはかなり格下だろうが…。
「ひ、…っ、ど、どれだけいるんだよ…!複数って…!!」
その数は有に五十を超えていた。
こちらの隊員は僅か四人。
一人当たり十以上斬らないと終わらない。
恐らく町ごと鬼にされたのだろう。
小さな町だ。
鬼の根城にでもしようとしたのかもしれない。
考えるよりも早く体が動いた。
これだけいたら次々と襲いかかって来られて体力が持たないかもしれない。
短期決戦で決着をつけるしかない。
──陰陽道奥義 式神白虎
式神を出すため舞扇を擦り合わせると、そこに現れた白虎が鬼に飛びかかり動きを封じていく。
青白い炎とともに現れた白虎はその睨みで邪鬼を祓い、鬼の攻撃力を下げることで首を斬りやすくなる技。
「鬼門封じ!」
私は舞扇を広げると首に向かって振り下ろしていく。鬼門封じは鬼が逃げられなくなる陰陽師の最終奥義。これによって鬼は逃げ道を封じられて、首を斬られる。
舞扇が生々しい感覚で首を斬ると、そこから鬼が崩壊していく。
どうやらちゃんと効いているらしい。
「神楽さん、っは、呼吸は使わないんだ?」
「はい、私、使わないんです!村田さん!一気に行きましょう!私はこちらから行きます!」
四方から回り込んで鬼の首を斬っていくしかないと踏んだ私は屋根の上に登って一番最後尾の鬼を目指した。