第13章 オンナノコの初任務
この能力の嫌なところは薬が一切効かないところだ。自分の体力と免疫力と抵抗力に頼るしかない。
昔、大怪我をした兄に使用した時、一週間寝込んだが、その時も母の薬は効かなかった。高熱に魘されて気がついたら一週間経っていた。
きっとあまりの大怪我を治したら私の命はないだろう。一回一回のダメージはそこまで多くないので知らず知らずのうちに負債も溜まっている。
産屋敷様の治療で勝手に使った分も疲労として蓄積されているのできっとその内それも含めてしっぺ返しがきそうだ。早めにしっかり休まなければいけない気がしている。
「ほの花ー!出発ーーッ!急ゲーー!!」
音花がそう急かしてくるので、慌てて身支度を整えると宇髄さんの元奥様達三人と正宗たち三人に声をかけて玄関まで向かう。
しかし、そこまで来ると下腹部に鈍い痛みを感じた。
(………嫌な予感しかしない。)
この感覚は年頃の女性であれば誰もが経験するアレ。
実はここ数ヶ月、里を出てからと言うもの精神的なものもあるのか完全に月のモノが止まっていた。
生娘で妊娠の可能性などなかったし、宇髄さんとそういう関係になってはいるが、彼はちゃんと避妊してくれているので完全に精神的なモノだと分かっていた。
(…よりによって今なのーーー?!ちょっと時期が悪すぎるよーー。)
まだ出血している感覚はないので、慌てて月のモノがいつきてもいいように厠で準備をして、そのまま家を出る。
──ズキン、ズキン
「南南東ーーッ!南南東ーーーッ!仲間ト落チ会エーー!」
下腹部に感じる鈍痛はまだそこまで酷くない。
それよりも体に感じる疲労感と微熱のが強い。
音花に促されるがまま、南南東に走っていくと何人かの鬼殺隊士の人が見えてきた。
(…良かった、一人じゃないって分かっただけでもホッとした。)
初任務が一人ぼっちなのは仕方ないと思うが、今の自分の体調で一人なのは心許ない。
それと実力は関係ないし、私情を挟んではダメだと分かっているが、今まで宇髄さんに甘やかされて守られてきた分、どうしても不安は付きまとうは仕方ないことだろう。