第11章 ヨリミチトキミノミチ※
"俺に本音を言えねぇで誰に言うつもりだ"
突然家族を失って、里を失って、何もかも失ってしまったと思ったからこれ以上何も失いたくなくて。
初めて好いてる人と恋仲になったのに
失いたくないから本音も言えなくて
失いたくないから諦めて嫌われないようにして
みっともない感情を晒すくらいなら
別に知らなくていい。
知りたくない。
そのかわり今のまま私を愛してください。
それが私の唯一の願いだったのに。
宇髄さんはそんな私の願いを華麗に跳ね除ける。
それと同時にその奥に仕舞い込んでいた私の本音を引き出させてくるんだ。
良いと思ってたのに、そんなこと言われたら宇髄さんに甘えたくなってしまう。
本当のことを言って困らせてしまうのは嫌なのに。
恋仲としても継子としても"ちゃんと"やりたいのに。
「ほの花、俺に言えよ。俺なんてお前の今と未来だけじゃ飽き足らずに過去まで全部欲しくなっちまって今回ついて来たんだぜ?お前はいらねぇの?俺の全てを。」
"言えよ"って顔で訴えかけてくる宇髄さんは狡い。いつもの余裕な表情は私の大好きな顔。
この人についていきたいと思わせてくれるそんな自信満々な顔が大好き。
「…うー…、欲しいです…、全部ください…。ひっく…、せっかく止まったのにー…。私、干からびますよぉ…。」
「朝まで口移しで茶をずっと飲ませてやるよ。…俺の全部やるから。お前も全部よこせ。お前は俺のだろ。」
「宇髄さんのですー…。ひ、っく…好きですー…!私以外と仲良くしないでくださいぃ…!」
「してねぇだろ。ほの花だけ。お前以外欲しくねぇもん。」
嗚咽でちゃんと喋れない。
涙で前も見えない。
泣きすぎて完全に思考能力皆無。
何を言ってるのか自分でわかっているのかも不明。
それでも確かなことがある。
「…う、うず、いさん…が、…だいすきで、す…。」
「おー、俺もお前が好きだ。死ぬほど愛してる。」
「えっ、く…わだじ、も…愛じでまず…ズッ…。」
「派手にしまんねぇな!おい!あとで泣き止んでからもう一回言え。ついでに派手に抱き潰してやるから。」
「いやぁ…もう、無理ですぅ…!お股がヒリヒリしますぅーーー!!」
あなたのことが世界で一番大切で大好きだということ。
それだけは絶対に間違いない事実。