第11章 ヨリミチトキミノミチ※
そりゃあ…言い出しにくかった。
だが、それはほの花に言いたくないわけじゃねぇ。
言ってしまって幻滅されるのが怖かったからだ。
ほの花を失うのが怖かったからだ。
「アイツらは家族みてぇなもんだ。だから大切な存在には変わりねぇが、お前が親と兄を大切な感覚と同じだ。」
「へ…?あ、は、はい。」
「俺ばっかり嫉妬して、俺ばっかりお前を知りたくてたまんねぇし、俺ばっかりお前を求めちまって…」
「ちょ、そ、それは誤解ですって!私だって宇髄さんのこと好きですし、嫉妬だってするし、知りたいし、求めてます!!」
「じゃあ、派手に言え!地味にしてんじゃねぇよ!」
「派手にって…、は、恥ずかしいじゃないですか…!」
こうやって本音で腹割って話したことなんてあっただろうか。
少なくともほの花が今話した想いは初めて知った。あの三人に嫉妬してたなんて全く考えもしなかったこと。まぁ、あれだけアイツらに好かれてたら言い出しにくかったんだろうけど。
「言え。絶対に言え!」
「ちょ…お、落ち着いてくださいよぉ…!」
俺の剣幕に驚いて顔を引き攣らせているが、今じゃねぇと聞けない気がした。今この一線を崩さねぇとほの花の本音を聞く機会はいつ訪れるか分かったもんじゃねぇ。
俺はお前に遠慮はしない。
「お前の気持ちが知りてぇし、俺は耳は良いけど、言わなきゃ分からねぇことだってある。我慢して遠慮して無理して笑うな!お前は俺の女だろうが!俺に本音を言えねぇで誰に言うつもりだ?」
「……う、宇髄さん…。」
ほの花の心が開いた気がした。
その目は穏やかで呆れたような観念したようなそんな表情で俺を見ている。
「あは、あはは…ッ、もう…宇髄さんには敵いませんよ。」
さっき泣き止んだばかりなのにまたその目には光るものが見えたが、もうこの際一生泣いてればいい。
そうすれば俺が一生お前をそばにいて、慰めて、愛してやるから。