第2章 興味本位
須磨が泣き出したことでその場の空気も和んだが、ほの花に引っ付いて離れないのでまたもや、まきをが引き剥がしにきて喧嘩になりそうだった。
しかし、それを窘めたのは雛鶴ではなく、ずっと傍観していたほの花の連れの三人だった。
ほの花の兄貴分というのは本当のようで揉め出しそうな雰囲気をいとも簡単に変えて、空気が穏やかになったかと思えば、そのまま談笑し始めた。
「まぁまぁ…。暫くご厄介になるので今日のところはそのへんで。」
「そうそう。ほの花様は何とも思っていらっしゃらないのでそう泣かずとも大丈夫です。」
「最近、殆ど食事できてないのでとりあえず食べさせてやって下さい。このままで骨と皮になってしまいます。ただでさえ色気がないのに」
「ちょ、それは余計でしょ!もうー!!」
背中を支えたままのほの花が反論を試みていたが笑って取り合わない奴らを見て、泣いていた須磨も笑顔を取り戻した。飛び付いていたほの花から申し訳なさそうに離れるといそいそと自分の席に戻り、奴らと話をし出した。
(…やれやれ。)
「あの、宇髄さん?もう大丈夫ですよ。」
そう声をかけてきたほの花を見るとまだ腕の中に彼女がいて、慌てて姿勢を戻してやる。須磨が退いてしまえば、側からみればコイツの肩を抱いているようにしか見えないその状況に今度は俺が焦ってしまった。
「っ、悪ぃ!」
「とんでもないです。ありがとうございます。体力落ちてるからなのか受身が取れませんでした。ちゃんと食べなきゃ…。」
気を張っていないところであんな急に飛びつかれたら誰でも受け身なんてとれやしない。まぁ、食事が取れてなくて体調が良くないのも一因ではあるかも知れないが。
気を取り直して再びお粥に口をつけるほの花を横目に自分も箸を取った。