第2章 興味本位
雛鶴がほの花の茶碗の飯を粥にして戻ってくると目の前にいた須磨がほの花に話しかける。
「体調でも悪いんですかぁ?無理しないでくださいね?」
「あ、いえ…その、ここ数日…食べ物が喉を通らなくて…体調が悪いってほどじゃないんですが…。」
いや、そりゃどう見ても体調悪ぃだろうが。
コイツ自分の顔色を鏡で見てないのか?元々の白さもあるとは思うが、生気のない程、青白くて体調不良以外何というのだ。
手元に戻ってきた茶碗を手に取ると一口粥を食べて雛鶴に礼を言うほの花。
「何かつらいことでもあったんですか?」
こういう時、須磨は核心をつくようなことを何の悪気もなく言う。素直なのは良いところだが、
事前にほの花達に起きた事件について三人に話すべきだった。自分の口から話すのはつらいだろう。
須磨を止めるため口を挟もうとしたが、それより先にほの花がその質問に答えた。
「…鬼に襲撃されて私も彼ら三人も家族を全員亡くしたんです。」
それは端的だが、十分衝撃的な内容で須磨は口を手で覆って驚いたまま固まってしまった。
しばらく静かな空気が流れるがそれを打破したのは今し方衝撃な事実を自ら語ったほの花だった。
「すみません!空気を悪くしてしまいましたね。でも、大丈夫です!やるべきことがはっきりしましたので。頑張ります!」
そう笑顔で話すアイツに話を振った須磨の方が泣き崩れてほの花に向かって飛び付いてきた。あまりに突然のことで須磨を受け止めると後ろに倒れ込みそうだったので、慌てて支える。
「っ、お、おい。須磨…。」
「うわぁぁあーん!ほの花さん!つらかったですねぇ!!変なこと聞いてごめんなさいぃ!」
「危ねぇだろ」と言いかけた俺の言葉をも遮り、わんわん泣く須磨をほの花は微笑みながら背中を撫でてやっていた。
その姿が本当に美しくて、また俺は釘付けとなってしまったのだった。