第11章 ヨリミチトキミノミチ※
何というか…やはり俺はほの花のことを性急に求めすぎて自分のことを全然彼女に伝えてないということに気付いた。
ほの花は気にしていないような素振りをしてくれたが、俺がほの花のことを過去まで全部知りたかったように、アイツだって俺のことを知りたいと思ってくれているのだろう。
もし、自分がほの花の立場なら押し倒して言うまで抱いてしまうかもしれない。
それなのにほの花は俺のことを深く聞いてきたことはない。
耳がいいことも、忍の家系のことも、…親兄妹のことも。
聞きたいと思ってくれている気がするが無理に聞き出したりしないところにほの花の優しさと品の良さが散見する。
こういう奴だから俺は惚れたんだろうなと心底思う。
人のことを想い、考え、遠慮深い奴だから思いっきり俺が甘やかしてやりたいと思うようになったのだ。
「宇髄さん、もういらないですか?」
気づくとほの花が隣にいて徳利を持って酌をしてくれようとしていた。
慌てて猪口に残っていた酒を飲むとそれをほの花に向けた。
「悪ぃ悪ぃ。ちょっと考え事してたわ。」
「お疲れですか?今日は温泉に浸かって早く休まないとですね。」
いや、そんなことは無理だ。
お前が隣にいて、手を出さないなんて無理だし、折角の旅なのだからじっくりとほの花の体を堪能したいと考えているのに。
「お前もう食ったの?」
気付くとほの花はもう既に食べ終えているようで随分と長い時間考え事をしてしまったことになる。
きっとほの花に心配かけただろう。
「はい!頂きました〜!美味しかったです!」
「それなら俺が食ったら温泉入るか。」
「え?食べた後すぐで大丈夫ですか?」
「ん?何なら先に運動するか?」
「運動?ここでですか?」
「運動と言えばお前を抱く…」
「はーやーくたべてくださーーい!!!」
腰を引き寄せようと手を這わせたところであまりの早業で逃げられてしまったので仕方なく残った飯を食らうと猪口に残った酒を煽った。