第11章 ヨリミチトキミノミチ※
「ちょ、ちょっと待ってください!!私が入ってから入ってきてください!良いって言うまで目を瞑っててください!分かりました?」
「わぁーった、わぁーった。」
「ってぇ!こっち見てるぅ!あっち見ててくださいよぉーー!」
俺らはヤることヤっているし、ほの花の裸も見たことあると言うのに何故ここまで恥ずかしがれるのか不思議だ。
飯を食ったので、よしきた!温泉行くぜ!ってなったのは最初だけ。
襖を開けた脱衣所でほの花が死ぬほど恥ずかしがるので俺は待ち惚けを喰らっている。
服脱いで自分が入るまで此処にいろ、しかも見るな、なんてまぁまぁの拷問を強いられるが心臓がまろび出るんじゃないかというほど煩い拍動が聞こえてきちゃァ言うことを聞いてやらねぇと何もしてねぇのにのぼせてぶっ倒れそうだ。
仕方なく天井を見てなんとか時を経つのを待っていると、ちゃぽんという水の音が聞こえてきたのでほの花の了承も得ずに、秒で隊服を脱ぎ捨てて、アイツのところに向かった。
「へ、んなぁっ!まだ入ってないですー!足浸かっただけですーーー!!」
「ンなこと言ってもボーっとしてんのが悪ぃんだろ?俺は耳が良いんだって言っただろうが。」
「…だ、だって凄い良い景色だったから…。」
慌ててじゃぼんと体まで温泉に浸かったほの花が見ていた先には確かに美しい雪景色が広がっていた。
雪なんてさっきまで降っていなかったのにメシを食ってる間に積もったのだろうか。
陰陽師の里にいる時じゃなくてよかった。あんな山奥に雪の中行くのは流石の俺も骨が折れる。
「確かにすげぇ良い景色だな。温泉があったけぇからちょうどいい寒さだぜ。」
「ああ…確かに!お外が見えるお風呂に入ったので初めてです!温泉っていいですねぇ。」
「まぁ、内風呂っつって、中の温泉もあるからよ。そっちは朝にでも入りに行くか。」
さっきまで恥ずかしさのあまりに真っ赤になってのぼせるんじゃないかと心配だったが今はちょうどいい桃色の頬をしたほの花に目尻を下げた。