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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第10章 『実家に帰らせて頂きます』【其の弍】





ほの花の屋敷は広いが中庭をぐるりと囲むような作りになっている。その中庭には温室のようなものと古いが立派な倉がある。

一度中庭に出ると家に入るための古い扉が目に入った。どうやら外からじゃないと入れない作りになっているようだ。


「此処です。だいぶ開けていないので埃っぽいと思いますが…。」

「かまわねぇよ。」


少しだけ屈んで中に入ると地下だと言うだけあって割と長い階段を降りていく。
しかし、しっかりとした造りになっているので綻びはなさそうだ。

下まで降り切ったところで頑丈な南京錠が見えてきた。それに懐から出した鍵を取り出すと開けたほの花。


「母と私しか鍵を持っていなかったので二人がいる時しか中には入れませんでした。どうぞ?」

「おー、じゃ、失礼。」


そこはさながら一つの研究室のような雰囲気。
入った瞬間の消毒液のような匂いはほの花の部屋からもするので少し気分が落ち着いてしまい変な気分だ。

部屋の中を見渡すと、薬師の母親がここで薬の研究でもしていたのか俺では使い方の用途すら分からない器具が整然と並んでいた。
その奥には薬棚や本棚のようなものがある。

ほの花は薬棚に向かい、鍵を開けるとそこにある瓶や袋の中身を確認し始めた。
お館様に使う薬を物色しているのだろうか。
その意図は分からないが、熱心に見ているので手持ち無沙汰の俺は横にある本棚に向かった。

先ほど母親の部屋で一冊だけ選んで持ってきたほの花だが、此処の本には目もくれないのは何故なのか。


「…なぁ、集中してるとこ悪ぃけど、此処の本は良いのか?」


するとハッとしたようにこちらを向いて本棚を見たが、すぐに俺に向き合って首を振った。


「此処にあるのは母が参考にした資料なので、市販しているものばかりなんです。母がまとめた物はさっき持ってきたものと家にある一冊だけなのでそれは大丈夫です。」

「へぇ…なるほどね。」


薬師っつーのはこんなたくさんの資料を読み込んで薬を作るのか。
頭のいい奴はすげぇわ。
ほの花も頭は良いはずなのに何故あんなにも自分の魅力に気づかないのだろうか。
不思議な奴だ。


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