第10章 『実家に帰らせて頂きます』【其の弍】
「…広いけど、何もねぇな。」
「そうですね…。父の部屋はあまり来たことなかったのですが、昔からこんな感じです。」
「何か探してんのか?押し入れとか開けさせてもらうか。」
特に探している物はない。
だけど、折角ここまで来たのだから陰陽道で鬼を倒すための秘策の書物…とか都合の良いものが無いだろうか…?だなんて思ってしまったので、宇髄さんの提案に頷くと、押し入れを開けた。
「…布団に…座布団…。」
「こっちは着物ですね…。本当に…物全然無いや。母に贈り物ばかりしてて、自分は物に興味がなかったんですよね…。」
そう、事あるごとに母に贈り物ばかりする父。
だから母の部屋は整理整頓はされていてもいつも父の愛で溢れ返っていたし、母の身につける物もいつも綺麗な物ばかりだった。
それと相反して、目の前にある押し入れにはものの見事に簡素な日用品のみが置いてあるだけで目ぼしい物はない。
しかし、ふと上を見上げると引き戸のようなところがあったのでそこに手を伸ばした。
背丈のある私でも少し背伸びをしなければ届かないそこは一度も開けたことがない。
「んー、ここの上の棚は開けたことないので開けてみます!」
「おい、俺が開けてやるって…っ、ほの花!」
宇髄さんの声が聞こえたと思ったら大きな箱が上から落ちてきてものの見事に下敷きになった。
「…いてて…、」
「ったく、言わんこっちゃない。高いところのは俺に言え。怪我したらどうすんだよ。」
箱をどけながらも私に怪我がないか確認してくれる宇髄さんに申し訳ないと思いつつ、男性に高いところのものを取ってもらう経験をしたことなかったので目から鱗だった。
確かに私より遥かに大きい宇髄さんに頼んだらこんなことにならなかっただろう。
御礼を言おうと見上げるが、彼の視線が私ではなく箱の中身に注がれていた。
(…何を見てるんだろ…?)
そう思って同じ方向を見た瞬間、その光景に目を見開いた。