第2章 興味本位
「あのなぁ…、とりあえず落ち着け。アイツは継子だと言っただろ。」
ほの花の容姿が美しいのは俺とて理解している。初めて会った時、この俺が固まったんだ。それなのにアイツはそんなことはこれっぽっちも気にしていないような天真爛漫さで翻弄してくるのだ。
「落ち着いていられませんよぉぉお!天元様ずるい!!」
「ずるいって何だ!俺は別に望んで継子にしたわけじゃねぇ!」
「いやいや、絶対あんな可愛い女の子で内心喜んでますよね?」
「喜んでねぇよ!!」
「まさかとりあえず継子にしておいて、手懐けたら手を出すつもりじゃないですよね?!大変!ほの花さんが穢れてしまう…!!」
だから何で雛鶴は俺がアイツに手籠にしようとしている前提の話なんだ?!コイツら俺のこと何だと思ってやがる!
連れて帰ってきただけでこんな仕打ちを受けるとは思わなかった。勝手に他の人間を住まわせるなと文句を言われるかとは思ったが、ほの花達のことを受け入れてくれるどころかめちゃくちゃ気に入っている。
それは喜ばしいことなのに、どこかズレたコイツらの喜びっぷりに放心状態もいいとこだ。
確かにこの三人は嫁という表向きの立場はあるが、実際は同居人兼部下のようなもの。そこに愛だの恋だのはない。もちろん家族のような関係だから好きではあるが。
「はぁ……。まぁ、いい。とりあえずほの花達は今日から此処に住まわせるからよろしく頼む。」
「はぁぁい!!わかりましたぁ!」
「そうと決まれば雛鶴!食事の準備しないと!」
「そうね!今日は歓迎会をしましょう!!」
嵐のように三人が台所の方に消えていくとどっと疲れが押し寄せた。
しかし、いくら幼馴染のような関係の四人でもほの花は女だし、同じ部屋にぶち込むわけにもいかないので人数分の部屋の用意でもしてやるか。
幸い、この屋敷には使ってない部屋などいくらでもある。