第2章 興味本位
「お初にお目にかかります。神楽ほの花と申します。この度、宇髄さんの継子としてお世話になることになりました。奥様方には何かとご迷惑をお掛けするかと思いますが、どうぞ宜しくお願い申し上げます。」
恭しく頭を下げるほの花とその後ろの三人に後退りをして目を見開き、ポカンとしてしている嫁たち。
そらぁそうだろう。
突然継子を連れてこられたのだ。驚いて当たり前だ。俺だってまだこの事実をちゃんと受け入れられずにいるのだから。
しかし、三人の中で一番しっかり者の雛鶴がいち早く気を取り戻し慌てて頭を下げると、まきをと須磨もつられるようにそれに続く。
「え、と…こ、こちらこそよろしくお願い致します…。雛鶴、と申します…。」
「私はまきをです。宜しくお願いします、ほの花さん。」
「え、え、えと、す、須磨ですぅ!!お、お願いします!!」
自己紹介は済んだようなので、ほの花達をとりあえず客間に通すと、三人がぐるりと自分の方を向き、揃って「天元様ぁ、ちょっと…」と腕を引っ張り部屋を出される。
相談もなく決めたことをドヤされるのだろうか。まぁ、共に生活してる以上その感情も仕方ないが、今回はお館様からの依頼だ。
申し訳ないが納得してもらうしかない。しかし、謝るなら先手必勝だ。
「悪かったって…勝手に決めて。でも、悪い奴らじゃねぇし、お館様から直々に頼まれたんだ。受け入れてくれ。」
しかしいつまで経っても返事のない三人は俯いたまま何かを耐えている様子。
やはり嫌だったのだろうか。何と声をかけようか考えあぐねていると須磨が俺の腕を掴み顔を上げた。
「天元様ぁ!!!めっちゃくちゃ可愛い人じゃないですかぁぁぁ!!!」
「そうですよ!!何ですか、あの美女は!!」
「あ、まさか!天元様の良い人ですか?」
三人の興奮具合に俺は呆気に取られて二の句も告げない。最後の雛鶴に至っては仮にも嫁の台詞ではない。