第51章 【番外編】そこにあるのは無限の愛※
「ふぅ、お待たせぇ〜!だって天元様がため息吐いてほの花ちゃんのこと頼んできたんだもん。そう言う時って大体ほの花ちゃんのことだよ〜?捨てられた犬みたいにしょぼくれてたよ〜?!」
「い、いぬ?!っっ!あっはははは!!!」
ゴクリと嚥下をした須磨ちゃんが口を開くと、思ってもいなかった言葉が降ってきて私は思わず笑ってしまった。
まさか天元が"捨てられた犬"と揶揄されるなんて思ってもいなくて、何だか可愛くなってしまって笑いが止まらない。
「本当ですって!!肩落として明らかに元気なくて!だから…『ほの花ちゃんと喧嘩したよね。』って雛鶴さんとまきをさんと話してたの〜!!」
「そ、そうなんだ…!ごめんね、心配かけて…。」
「ううん!全然良いんだよぉ〜!でも、思ったよりもほの花ちゃん元気そうで良かったよぉ!」
"思ったよりも元気そう"と言うのは間違っていない。須磨ちゃんが私の気持ちを洗い流してくれた。
喧嘩したような形になってしまったけど、実際には私が一方的に怒っていただけ。
でも、天元は怒らせてしまったと気にしていたのかもしれない。
それを知れただけでも、もう私の気は済んでいる。
「須磨ちゃんのおかげで気が晴れたよ〜!ありがとう。おはぎいただきます〜!」
「そっかぁ!良かったぁ〜!どうぞどうぞ〜。」
二人で食べるおはぎは先ほどまでどんよりとしていた心を晴れやかにしてくれる。
私たちは鬼狩りをしていたせいで恋人らしいことは殆どしたことない。
夜の営みこそシていたけど、のんびり散歩をすることだって、どこかに出かけたり…
こうやって二人で家にいる時間が長いのだって初めてのこと。
今までは気にならなかったことがお互いに気になってしまうこともあるだろう。
それは良いことも悪いことも。
天元が毎日隣で寝てくれて、朝起きたら『おはよ』と言ってくれる生活がどれほど幸せなことか。私は身をもってここ二週間で体験した。
その逆だってあるのだ。
今回の件はきっとそれだけのことだろう。