第51章 【番外編】そこにあるのは無限の愛※
「宇髄様、ほの花様の乳房がこぼれ落ちそうですけど、大丈夫ですか?」
そう言葉を発したのは私の元護衛である正宗だった。
苦笑いをしながら天元にそう言ってくれると、天元はハッとしたように私の体を見つめて自分の羽織りをかけてくれた。
「は…?うぉーーーい!!!!見んな!お前ら見たのか?!ぶち殺す…」
「そんな風にあちこち移動させれば着物が着崩れるのは当たり前ですよ。それに我々はほの花様の裸見ても何とも思わないと前から言ってるじゃないですか…。」
「……わーった、わーった。悪かった。とりあえずほの花は飯食っちまえ。」
鶴の一声と言うのだろうか。
この屋敷での発言権は明らかに天元が強いけど、意外に私のことだとこうやって正宗達の意見を取り入れてくれるのは彼らのことを認めてくれている証拠だろう。
私の元護衛にも平等に接してくれる天元のことは大好きだし、そう言うところもやはり惹かれる理由なのだ。
寝込んでいる時はこんな風にイチャイチャすることもできなかったのだから天元と触れ合えるのは嬉しいのだが、此処でのイチャつきはただの苦行。
私がシたい触れ合いはこれではない。
彼の腕の中でチラッと上を見上げてみれば、いつもの天元と目が合った。
「…あとで、また…抱っこしてね。」
耳が良い彼にだけ聴こえるような大きさでそうやって私の希望を伝えてみると、大きな手が私の頭に乗せられてガシガシと撫でてくれる。
私だって彼と触れ合いたいという気持ちはある。
でも、正直いま着崩れたのだって自分が痩せたことで着物が少し緩くなってしまったのが原因だ。
こんな体でも抱いてくれるだろうか?
病み上がりだから無理をするなと言われるだろうか?
寝込めばまた天元に迷惑をかけるのだから我慢するべきなのかもしれない。
それでも思い出すのは彼との情事。
彼に何度も何度も抱かれている私はそれが懐かしくて、早く抱かれたくて、どうしようもないくらいに彼を求めてしまっている。