第51章 【番外編】そこにあるのは無限の愛※
「此処来るか?背中凭れられるぜ?」
「…大丈夫。」
「は?何で?!此処のがあったかいし、絶対楽だって!」
「寒くないし、別に今つらくないから大丈夫だよ。」
「いいから来いって!此処に!」
そう指差して必死な形相なのが誰かなんて言うまでもない。
さぁ、漸く食事が始まって暫くした時、突然『なぁなぁ』とニコニコして声をかけてきたのだが、それがこれだ。
彼が指差しているところは胡座をかき、座っている自分の足の上だ。
要するに其処に来いと言っているのだろう。
いや、別に嫌なわけでないし、何を隠そう部屋で食事をしていた時は眩暈が治らなくて仕方なしに天元が体を支えてくれていたので、其処に座ることもしばしば。
彼が其処に来いと言う理由も分からなくはないのだ。
分からなくもないが…場所が場所だ。
目の前にいる六人はそんな天元を見てもニコニコと笑ってくれているが、私は人前でイチャイチャするのには慣れていない。
できたら二人きりの時にしたい。
此処でするのは小っ恥ずかしい。
ただそれだけなのだが、天元には伝わらない。
「だ、だから…!いま体、大丈夫…!」
「うるせぇ!俺の此処が寒ぃから来いっつってんの!!」
「ひぇ、ええええ…」
半ば引き摺られるように体を引き寄せられると自分の足の上に私を入れると満足そうに笑う天元。
後ろから抱きしめられるように食事をすることになろうとは思わなかった私はその場でちまちまとお茶を啜ることで周りを見ないように必死だ。
「おいおい、もう食わねぇのか?体力つけろ。ほら、魚食え。食わせてやるから。あーん。」
「じ、自分で!食べれる!!」
「ええーー!私もやりたい!天元様!私がほの花ちゃんに食べさせる!!」
「うるせぇ!大進!須磨捕まえとけ!ほら、ほの花食え!」
もう穴があったら入りたい。
居間でみんなで食事をしたいと思っていた私だったけど、こんな小っ恥ずかしい想いをすることになろうとは思ってもいなかった。
しかし、この騒ぎをピシャリと収めてくれたのは意外な人物だった。