第51章 【番外編】そこにあるのは無限の愛※
「あ、ほの花様。お久しぶりです。お元気そうです何よりです。」
そうやって入ってきたのはほの花の元護衛の正宗だ。その後ろから雛鶴も顔を出すとほの花を見て笑みをこぼした。
「あら!ほの花ちゃん!良かった…!天元様が独り占めしててちっとも会わせてくれないんですもの。顔を見れてホッとしたわ。」
「正宗、雛ちゃん…。ひ、久し、ぶり…。あはは…。」
「あんだよ、何か言いたそうな目だな。お前ら。」
ほの花に近寄る二人が俺の方を見てにんまりと笑うのでそうやって返してやっても顔を見合わせて頷くばかり。
言いたいことは分かる。
ほの花のことを囲いすぎだろと思ってることくらい。
だが、今まで柱だったのだ。
ほんの少しの隙間時間にほの花を愛してきたけど、こうやって近くにいることが許されるならば少しも離れたくないのは仕方ないことだろ?
ただほの花としては想定外だったかもしれない。まさか俺に甲斐甲斐しく一から十まで世話をされるとは思っていなかったのだろう。
俺は本気を出せば一生ほの花をこの家から出さずに生活させることくらいできる。
そんなこと余裕だ。
そうしないのはそれこそ体裁があるから。
ほの花にとって良くないからに他ならない。
「当たり前ですよ。天元様ったら独り占めしたいのはわかりますけど、ほの花ちゃんの顔くらい見せて欲しいものです。」
「流石に二週間、声しか聴いていなかった我々からすれば今どんな状況なのか想像することしかできなかったんですよ?」
「悪かったって…。善処する。」
しかしながら、俺も意図して会わせなかったわけではない。
自分が全部やりたかった。
やってやりたかったからほの花の身の回りのことは全部やっていただけのこと。
結果として二週間部屋から出さず、中庭から外を眺めることくらいしかさせていない。
どっちみちできなかっただろうが。
起き上がることすら一昨日から漸く始めたのだ。
熱も37度台からなかなか下がらなかったのでほの花も身体がずっとだるかっただろう。
久しぶりに安心する顔色をしているほの花を見るとホッとすると言うものだ。