第51章 【番外編】そこにあるのは無限の愛※
「ああ!ほの花ちゃーん!!体調どうーー?!苦しくない?熱はないの?」
「須磨ちゃん!おはよう〜。うん。やっと熱が下がって…!今日からここでごはん食べていいって言ってくれたから…!」
「そうなの?!良かったぁ!!気分悪くなったらすぐに天元様のところで吐くんだよぉー!!」
「うん!」
「"うん!"じゃねぇーーー!!!!」
ほの花を抱えて居間に入るとすぐ近くにいた須磨が一目散に駆け寄ってきた。
腕の中のほの花を見て目を輝かせて話を始める彼女に呆れてため息が出てしまう。
「おい、須磨。とりあえず座れ。話したいなら座ってからにしろ。」
「あ、天元様。おはようございます!」
「おーおー、随分と"ついで"に挨拶してくれたな、おい。」
ほの花を連れて帰ってきてからというもの、元嫁達とほの花の関係性は格段に親密度が増したと言っていい。
元々、ほの花が元嫁達に気を遣わなければならないように仕向けたのは俺の配慮が足らなかったせいだ。
誰にでも優しくて、気遣いのできるほの花がコイツらに遠慮するのは簡単に予測ができると言うのに。
鬼殺隊の音柱として昼夜問わず走り回り、更に息つく暇もない余裕のなさからそんなことまで考えてやれなかった。
コイツが一人でこの屋敷でどれだけ肩身の狭い思いをしていたか今ならば理解できる。
これほど共にいるとほの花が細かいところまで気にしていたり、夫になる俺に対してもたかだか看病くらいで申し訳なさそうに頭を下げてくる。
こんなほの花のことだ。
当時はもっともっと気にしていただろう。
抱えていたほの花の体を定位置に下ろしてやると体を支えてやる。
「ありがとう…!大丈夫だよ。一人で座れそう!」
「別にいいだろ。俺がくっついていてぇの。文句あっか?」
「い、いや…な、無い、けど…ありがとう…ゴザイマス」
「何でカタコトなんだよ」
俺は知ってる。
こうやって小さなことでも体裁気にして離れようとするほの花の気遣いを。
もう二度と我慢なんてさせたく無い。
あの時、我慢した分今度は甘えさせてやると決めているのだから