第51章 【番外編】そこにあるのは無限の愛※
見窄らしい体、ねぇ…?
コイツどの口が言うのだろうか。
確かに抱き上げるとその軽さは一目瞭然なのだが、醸し出す空気は日に日に色気を増していくと言うのに。
「ほら、帯締めるぞ?」
「う、うん。ありがとう。」
腰だって体だって薄くなってしまったのは分かるけど、そんなことどうでもいい。
とにかく昨日までは微熱が続いていたのだからこちらも性欲を感じずにいられたが、今日からは俺が修行だ。
健康なほの花の体をまじまじと見てしまったら完全にヤりたくなってしまう。
だが、まだ病み上がりだ。
こんな状態で抱いてしまえばまた発熱させてしまうかもしれない。
俺ははっきり言えばひとたびコイツを抱けば我慢できずに激しく抱いてしまうに決まっている。
ほの花が記憶を取り戻してからはまだ一度も抱いていない。
それもまた悶々としてしまう理由かもしれない。
やっと元に戻ってほの花と思いを通わせて夫婦となることを許されたと言うのに。
帯を締めてやる体は確かに細くなってしまったが、艶めかしい頸と体の柔らかさ、ふわりと香る花の匂いも変わらない。
そんなことくらいで俺が気にすると思っているならば舐められたもんだ。
こちとら生きてくれているだけで御の字だと言うのに。
意識不明の重体のとき、どれほど俺がほの花を待ち望んだのか。
記憶がなくてもその想いが途絶えることはなかった。
どんなほの花だってド派手に愛していると断言できると言うのに。
締め終えた帯を軽くポンと叩くと、後ろからほの花を抱きしめてやった。
「…?天元…?」
「……ばーか。」
「え?!な、なに!急に…!!悪口…!?」
「うるせぇな!!お前は大馬鹿野郎だが、ド派手に愛してる!」
「へ?な、…へ?あ、あり、がと…う?」
こちらの気も知らずに…
本当に馬鹿な奴だ。
もうほの花を手放すことなんてできやしない。何度記憶を無くしても、何度発熱したって構わない。
柱をやめた今、漸くのんびり堂々とほの花と手を繋いで歩けるのだから。