第50章 【番外編】溺愛はほどほどに
「ほの花ちゃーん!猫ちゃん可愛いですねぇ!!」
「本当に猫は癒しですね。」
須磨ちゃんと大進がこちらを見ながら子猫を愛でてる様子を見て私は大きく頷く。
(…そう…そうだよ!この感じ…!これが正しい反応だよ…!!)
須磨ちゃんの詳しいことは知り得ないが、大進は護衛の中でも猫好きなのは知っていたので目の色を変えて子猫を撫でているのを見るとこちらも嬉しくなる。
二人でニコニコしながら猫を愛でてくれるのを見ると、先ほどまで目くじらを立てて怒っていた天元に乾いた笑いが出てしまう。
天元の反応は予想外のものだったから。
何も飼おうと言っているわけではない。
あわよくばそうなるといいなぁ、なんて邪な考えがあったのはもう忘れよう。
こうなってしまうと、飼うのは無理だ。
せめてこの子の怪我が治るまで責任を持って面倒を見ることくらいしかできないだろう。
「良かった…二人がこうやって可愛がってくれて…安心した。怪我が治るまで此処にいるからよろしくね。」
「え〜?!飼わないんですか??こんなに可愛いのに〜!!!」
「あはは!須磨。きっと宇髄様が難色を示したんだろうね。仕方ないですよ。」
「あ、なるほど!!それなら仕方ないですねぇ…!私たちが飼いたいくらいですよぉ〜」
見ていたのか?と思うほど、私と天元のやりとりを言い当てられてしまうと、ぐうの音も出ない。
「…あはは…、どうやら…猫はお気に召さなかったみたいでして…」
「猫が気に入らなかったんじゃなくてほの花ちゃんに構ってもらえないのが嫌だったんじゃないですか〜?天元様ったらほの花ちゃんに対しては子どもみたいですもん!」
構ってないわけではない、が…"動物の雄を男"と捉えられてしまえばあらゆる事象が不義のように感じてしまうのだろう。
まぁ、回り回ってそれが"構ってもらえない"につながるのかもしれないけど。
苦笑いをしている私を見て大進が穏やかに笑い、須磨さんの腕の中にいる猫をまだ一撫でした。
「宇髄様はほの花様が大切なんですよ。もう後悔したくないから毎日全身全霊で愛してくれてる。」
大進の言葉は私を諭すようなそんな声色だ。