第2章 興味本位
「別に重くねぇよ。気にすんな。」
そう答えてやるとやはり先ほどの花のような笑顔をするものだから視界に入ってくるそれを見ないように必死だった。
いや、何故必死なのだ。そう自問自答するが、浮かんでくる考えはろくでもないものばかりだった。
しかし、ほの花に言っておかないといけないこともある。今から行く俺の屋敷には先客がいるのだ。
いきなり連れて行き、お互い驚かせるよりもほの花だけでも理解してくれていると助かるというものだ。
「俺の家には三人の嫁がいる。」
「さ、三?!よ、よめ?!」
驚きから口をあんぐりと開けて見上げるほの花に苦笑を浮かべるが、想定内の反応だ。恐らく後ろにいる三人にも聞こえているだろうからそのまま話を続けた。
「ああ。まぁ、嫁と言っても里を抜ける時に連れ立ってきた三人で親の決めた許嫁のようなもんだ。」
「は、はぁ…。」
「気の知れた部下に近い。お前らもそうだろ?」
「え、いや!私は彼らの嫁ではないです!!」
いや、そこじゃねぇ。
何もお前らも夫婦なんだろと言ったわけではない。三人の嫁というところに気を取られすぎだ。
「違ぇって。お前らも上司と部下なんだろってことが言いたかったわけよ。」
「え、いや、それも…うーん…ちょっと違うと言いますか…。」
「は?」
「彼らが仕えていたのは神楽家であって私ではありません。それに産まれた時から共に育ったので幼馴染のような兄のような存在です。」
なるほどね、家に仕えていたからコイツに敬語こそ使うが、それ自体は癖みたいなものであの砕けた話し方がコイツらの本当の関係性ってとこか。
「ふーん。なるほどねぇ…。」
「宇髄さんの奥様の件は分かりました!誤解されないように振る舞いますのでご心配なさらないで大丈夫ですよ!」
そう言ってくれるほの花の気遣いはありがたいのだが、どうも小骨が痞えてるような変な気持ちになった。