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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※





タクシーに乗りながら気になるのはほの花のこと。
メッセージを送っても既読にならない。
電話をしたくてたまらないけど、逆に火に油を注ぐことになるかもしれないと思うと、それもできない。

何度も何度もスマホを確認しながら、進んでいく道路を眺めていると伊織が再び口を開いた。


「天元はさ…、全然熱くならない人なんだって思ってた。」


「…え?」


「優しいし、明るいし、カッコいいし…。」


「何だよ、褒めても何もでねぇぞ。」



この期に及んでほめ殺しをしたところでオレの決意は変わらない。申し訳ないが、伊織とこの先交わることはないというのに彼女はフフッと笑うと言葉を続ける。


「でも、意外に軽い感じで付き合い始めたのにちゃんと彼女扱いしてくれて嬉しかったけど…ヤキモチ妬いてくれたこと一回もないよね。」


「………あー……、ごめん。」


「それなのにほの花さんのことになると、こんなにも焦ったり、怒ったり、苛々してる。」


何も返す言葉はない。
それは事実で間違いないのだから。



「…全く…何回もさー、ヤキモチ妬かせようと匂わせしたこともあるのに全然気付いてくれないんだもん。ヤケになって浮気しちゃったの。暁のがちゃんと私のこと見てくれてた気がして楽しかった。…でも、本当は天元にそうなって欲しかったの。今となっては…もう遅いけど。」


「…何回も言うけど、浮気したことを咎めることはしねぇよ。オレも悪ぃからさ。でも、お前の言う通り…もう後戻りはできねぇよ。ごめんな。」


「分かってる。…言っておきたかっただけ。バレなければ私は言わずに天元と結婚しようとしてた。ごめんね。」


お互い謝って蟠りがなくなったとしても、既に平行線の道に立っている。
伊織が浮気していようとなかろうと、オレはこの道を選んでいただろう。


言い終わるや否や、伊織がゴソゴソと鞄の中に手を突っ込むと、急に手渡してきたのはオレの家の鍵。
それを無言で受け取るとオレ達は別々の窓の外を眺め始めた。


そこに映る景色のようにオレ達は違う道を行く。


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