第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
「…は?誰だお前…ああ、ほの花の浮気相手ってわけか。呼んであったのかよ?そんで俺を説得しようっての?」
目の前に現れた宇髄さんを見て暁が睨むような視線を彼にぶつけたけど、次の瞬間若干狼狽えた。もちろん、私も。
「っ、な…?伊織…!?」
宇髄さんの後ろにいたのは伊織さん。
暁の言葉を聞いて私も体を震わせてしまったけど、その前に宇髄さんの優しい視線に肩の力が少しだけ抜けた。
「…どうやら見覚えがあるようだな。コイツに全部聞いた。言い逃れは出来ねぇぜ?」
「は…?な、…?!う、浮気しておいて…!」
「浮気したのはお前だろうが。1年前からだって?まぁ、気付かなかったオレも悪いから咎めはしないけどよ。とりあえずほの花を離せ。」
狼狽えている暁の肩を掴むと、私から引き離して服を整えてくれた。
宇髄さんの指が触れるたびに、そこだけ優しさを感じて涙が溢れて来た。
「っ、ありが、と…ございます…!」
「ん…、お前らが先に浮気してたのはもう知ってんだよ。まぁ、確かにオレも悪い。ほの花に彼氏がいるのを知っていて好きになっちまった。そんでもう止められねぇ。」
宇髄さんは私の肩を抱き寄せながら堂々と暁に向き合ってくれている。
肩から伝わる体温が『大丈夫だ』と言ってくれている気がした。
◆◆◆
「だから、ほの花はオレがもらう。一年も浮気してるお前にゃ勿体ねぇ女だ。オレが幸せにする。」
「な…っ!か、勝手に決めるな!オレは…ほの花と結婚しようと…!」
「だったら何で浮気した?お前ら二人とも、本命とは別に火遊びしたくなるような奴と今後も付き合っていけると思うのか?舐めんのもいい加減にしろよ。」
こんな時、自分の体がデカいことに心底幸運だと思う。
昔ほどの剣技などできやしないが、それでも腕っぷしは強いし、喧嘩をふっかけられたら大抵の奴には負けやしない。
尚且つ、初見でオレに睨まれてビビらない男はいないだろう。
暁と言う男は後退りをし始めると散らばっていた荷物をかき集めると、伊織を連れて出て行った。
地獄のような修羅場のそこには今はほの花の啜り泣く声しか聴こえない。