第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
「や、めて…!お願い…!もう、別れるって言ったじゃん…!そういうことはできないよ…!」
「うるせぇな。浮気を許してやるっつってんのにどの口かな?釣れないこと言うのは。」
顔を無理やり固定されて唇を奪われるとにゅるっと動き回る舌さえ、気持ち悪いと感じてしまう。
体調はすっかり良いと思っていたのに、目の前にいる暁の強引さに目眩がした。
自分が悪いのだ。
もっと早く暁と話し合っていればこんなことにならなかった。
逃げたせいだ。
自分の気持ちから。
暁と向き合うことから。
あまりの無力さに涙が込み上げてきた。
泣いても仕方ないのに、目頭に溜まった涙は重力に打ち勝つことなく、頬を伝っていく。
それが顎から垂れて床に落ちるかどうかという時、部屋の中にインターホンが響いた。
──ピンポーン
「…チッ、無視しろ。どうせ宅配便だろ。」
「ちょ、やだ…!います!!いま行きます!!!」
「ばっ、かやろ!行くな!!」
暁は止めるが、今の私からすると宅配便ですら神様かと思うほどありがたい。
しかし、私の手を掴んで離してくれない暁に夢中で抵抗しているが、とうとうその手に適うことはなく、壁に押し付けられるとシャツのボタンを乱暴に開けられた。
「っ、い、った…、」
「こんな状況じゃ、外に出れないよなぁ?」
パチンと音を立ててブラジャーまで取り払われると体を襲うのはエアコンの効いた冷たい空気だけ。
この状況に私は何故か既視感を覚えた。
私は誰かに強姦されたことはない。
宇髄さんとは合意だったし、暁とも…ここまで無理強いされたことはないから。
それなのに何故こんな状況に既視感を覚えるのだろうか。
暁のこんな姿は見たことないはずなのに、この状況は身に覚えがある。
遠い昔…?いや、私の記憶かどうかも定かではないけど、こんな状況に陥ったことがあった気がする。
死ぬかもしれないという状況で、そばにいてくれたのは暁じゃない。
「…宇髄さん…!!」
脳裏に鮮明に焼き付いたのは彼の心配そうな表情。
そうだ…私は、彼のことを昔から知っていた。
そして…
「おいおい、この状況は頂けねぇなぁ?ぶち殺されてぇのか?」
いつだって彼は私を守ってくれていた。