第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
静かな空間が流れる。
目の前の暁を見つめれば、彼は無表情で視線を絡ませてきた。
その表情に少しだけ恐怖を覚えた。
「それで…?」
「え…?だ、だから…別れたい、から…これで終わりにしてください。」
「ふーん…?浮気して、そっちに本気になったからってか?」
「…え…?」
違う、先に浮気したのは暁のはず。
しかも、何故そのことを知っているのだろうか。
「…まさかなぁ〜、ほの花が浮気するなんて思いもしなかったけど、やっぱりそうか。」
「ちょ、ちょっと…待って?」
「今更言い訳かよ?オレは別れないよ。一度の浮気くらい許してやるからそんな男とはそれっきりにしておけ。」
何かがおかしい。
それは万が一言うならば、私が言うのが正しいはず。
なのに暁が意気揚々とそんな風に言うものだから私の心臓はドキドキとまろびでそうだ。
「…ごめん、私、、もう暁とは付き合えない、から。」
「別れないって言っただろ?」
「暁だって…!!浮気してたでしょ?ううん。ずっと浮気してたのはあなたの方でしょ?」
「…はいはい。だったら何だよ?お前だって浮気してたんだからトントンだろ?」
認めてはくれた。
認めたけど、これでは最悪な事態だ。
出鼻をくじかれたことで私の攻撃のターンは潰えたと言っていい。
睨みつけるように暁を見ても冷たい視線で見てくるだけ。
その表情に私への愛は感じない。
「…お前、外見良いし、職場の人にも家族にも結構ウケがいいからさ。結婚するならほの花って決めてたんだよなぁ。独身時代の浮気くらい大したことねぇよ。な?」
そう言って私の手を引くと体を固定されたかと思うと、そのまま暁の唇が降ってきた。
「っ、んっ…!や、め、…っ!ん、…、」
「抵抗すんなって。仲直りしようって言ってんの。オレたちは付き合ってるんだぜ?愛の営みしようぜ?一回ヤッちまえばそいつのことなんて忘れるって。」
忘れられない。
忘れられないから別れを告げたのに。
それなのに暁の手も唇も私に触れてくる。
拒否しても拒否してもどんどん進んでいくそれらに絶望しかなかった。