第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
──天元、生まれ変わったらあなたの陽だまりになりたい。
ねぇ、あなたは誰なの?
私…?
天元って…宇髄さんのことなの?
また変な夢を見たと思ったら冷たい感覚がして急に意識を引き上げられる。
重い瞼を仕方なく持ち上げてみれば、其処は見慣れた天井だった。
(…家、…か。どうやって…帰ってきたんだっけ…?)
体は怠いし、痛いし、熱い。
完全に風邪の症状だろう。
夏に風邪をひくなんて久しぶりだが、患った理由など言わずともわかっている。
此処最近、意図せずに水浴びをしていたからだ。
宇髄さんの彼女さんから水をかけられるようになってから何日が経っただろうか。
だから私も学習してタオルと着替えを持参するようになっていたが、それでも体は冷えていたのだろう。
かけられたのはキンキンに冷えたペットボトルの水だったのだから。
熱い体をゆっくりと起こすと同時にガチャリと開いたドアの先にいた人物に私は目を見開く。
「お?起きたか。気分はどうだ?」
そこにいたのは暁ではなく、宇髄さんだったのだから。
手には洗面器に小さなタオルが握られていてその姿から彼が私の看病をしてくれていたのは明白だ。
よく見たら頭の下にあったのはアイスノン。
その溶け具合から割と長い時間、彼は私を看病してくれていたのだろう。
「…う、ずいさん…、なんで…?」
「何でってお前がぶっ倒れたから看病してたんだろ?」
「あ、そ、そうですよね。ありがとう、ございます…」
鼻歌まじりにベッドに近づいてきた宇髄さんは慣れた様子でサイドテーブルに洗面器を置くと私の額に手を添えた。
「んー…まだ高ぇな。もう少し寝てろ。」
「あの、…何で…、用事…、あった、んです?よね?」
「ほら、まずはこれ飲め。水分摂った方がいいだろ?」
そう言って差し出されたのはペットボトルの水。
最近、それを見ることが多かった私はどうにも差し出された時にビクッと体を震わせてしまった。
それ自体は不思議に思ったとしてもその程度のことなのに、宇髄さんは眉を顰めると『どうした?大丈夫か?』と視線を合わせてくれた。
そんな彼の顔を間近に見てしまうと途端に昂った感情が吹き出して行った。