第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
ほの花の家までタクシーで向かうと寝てしまっている彼女を抱き上げた。
最初から起こすつもりなんてない。
目を覚ませば遠慮して無理させるだけなのは経験で分かっているからだ。
ほの花の体に触れるのはあの日以来。
いつ触れてもやはりほの花はほの花だ。
セックスでなくても、ただ隣にいるだけでも心地よくて共にいられることが嬉しくてたまらない。
もちろん隣にいるならば恋人としてが良い。
だが、ほの花が傷つくのだけは嫌だから。
それならば待つつもりだった。
待ってもオレの気持ちはもう変わりようがないのだ。ほの花を思い出してしまった以上、またどうせ前世の時と変わらないはずだ。
(…どうせ、もうほの花以外じゃ勃たないんだろうしなぁ…)
それは昔も経験したことがある。
ほの花に堕ちてからと言うものオレはほの花にしか反応しないなんてことは最早既定路線だ。
先日、この部屋に来た時に仕入れた情報は多い。
どこに鍵が入っているのか。
どこに寝室があるのか。
どこにキッチンがあるのか。
オレはほの花の持っていた鞄から鍵を取り出すと堂々と部屋の中に入っていく。
彼氏ではないオレが。
現代の世界でほの花が知っていることとはいえ、不法侵入と訴えられてもおかしくないが、頭の中では絶対的自信があった。
オレはほの花の夫だと。
もちろん"今"ではないが、あれほど濃密な時間を過ごしてきたほの花との絆がたった一度生まれ変わったからと言って無くなるとは到底思えなかった。
だから自信があった。
何度生まれ変わってもオレはほの花に惹かれてしまうのだろう。
腕にかかる心地のいい体重は今も昔も変わらない。寝室にその体を横たえるとオレは足早にキッチンまで向かうと氷枕が無いか確認しに行く。
流石は薬剤師なだけあって、ほの花の家には体温計から血圧計、パルスオキシメーターまで取り揃えられている。
冷凍庫を開けてみるとアイスノンを見つけたのでそれを持って寝室に戻っていく。