第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
「え…?神楽さん!大丈夫?!」
「コイツ、昔からすぐ無理するんすよ。すげぇ熱あるからオレ連れて帰りますわ。心配しなくてもちゃんと知り合いなんで。」
「…ほ、本当?神楽さん、付き纏われてるわけじゃ、ない?ストーカーじゃない?」
おいおいおい、確かに何回も此処に押しかけて『ほの花いるか』と聞いたのはオレに間違いはないが、ストーカーならばもっと秘密裏に動くだろう。
こんな堂々と明るいストーカーがいるか。
まぁ、オレはそう思っているが、重要なのはほの花がどう思っているかだが…。
しかし、同僚の薬剤師の方を見ると首を振って『宇髄さんはお友達です』と言ってくれたので心底ホッとした。
此処でほの花にストーカー呼ばわりされたらうっかり警察でも呼ばれるところだったから。
その言葉を聞いて漸く同僚がオレを見て納得したように声をかけてきた。
「神楽さん、着替えてから送ってもらいなさい。ね?」
「で、でも…、」
「家に薬はある?すぐに解熱剤とか準備してあげるからゆっくり休んでね。えーと、宇髄さん、でしたっけ。よろしくお願いしますね。」
「了解っす。」
物分かりの良い同僚に助かった。
ほの花はそいつに連れられて身支度を整えるとフラフラと戻ってきたのですぐに体を引き寄せると腕に掴まらせた。
「ここ、掴まっておけ。」
「は、はい…すみません…」
「じゃ、失礼しまっす〜。」
ほの花を連れて薬局を後にするとすぐにタクシーを止めて乗り込む。
どうせこんな状態で歩けやしないのだ。
オレは昔みたいに抱き上げて帰ってもいいが、現世はどうにも好奇の目で晒されることが多いため、ほの花が気にするだろう。
タクシーの座席に深く腰掛けたほの花はボーッとして外を眺めているが、最早虫の息。
今にも意識を失いそうな彼女の様子にため息を吐くと体を引き寄せて膝に頭を乗せてやる。
「…これで寝てろ。着いたら起こしてやるから。」
「…すみませ…。」
いつものほの花なら絶対に拒否してくると言うのに今日はそのまま意識を失うように寝てしまった。
余程我慢していたのだろう。
体は熱く汗ばんでいる上に苦しそうに顔を歪めていた。