第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
「……煉獄、サンキュ。オレ、行くわ。」
「お、そうか。」
背中を押されたオレは校長に『好きな女に会いたいので早退します!!』と清々しいほどはっきりと理由を言うと真っ直ぐに向かったのはほの花が働く薬局。
此処最近何度もきているので、オレはすっかりほの花を狙う不埒な軟派者だと思われているだろう。
それでも構わない。
もうこんなことで遠慮してたら元音柱の名が泣くじゃねぇかよ。
しかし、到着した時、ほの花の薬局は混み合っていて乗り込んで行っても恐らく喋れないだろう。
仕方なく、中の様子を伺いながら外で待つことにした。
遠目で見るほの花の姿にホッとする。
何日ぶりだろうか。
数日しか経っていないというのに、ほの花を求めて仕方ないのは前世の記憶を取り戻してしまったからだ。
前世でのオレたちは一緒に住んでいたのだから毎日のように顔を合わせる。
それが当たり前だったオレからしたらこんなに会えないのは死活問題だ。
再会してからと言うもの急速に惹かれていった理由に漸く納得できる理由がある。
もうほの花に遠慮はしない。
数十分経ったところで漸く中の様子が落ち着いているようだったので、処方箋もないのにずかずかと入っていく。
オレの姿を見て、同僚の薬剤師が呆れたように見ているが、窓口にいたほの花だけは驚いたようにこちらを見た。
「…宇髄、さん…。」
しかし、顔を上げたほの花を見てすぐに異変を感じた。
マスクをしているから分からないと思ったら大間違いだ。
オレはほの花をずっと見てきた。
ずっと…看病してきたのだから。
揺れる瞳にオレが映る。
肩で息をしていて、その目は虚。
米神に垂れる汗が全てを物語っている。
「…何してんの。お前。早退の準備してこい。」
「え、や、だ、大丈夫…です。」
首を振って頑なに拒否するほの花に問答無用で額に触れた。
流石にほの花に触れたことで周りの同僚達が止めようとしてきたが、次にオレが発した言葉に固まった。
「…すっげぇ熱あんじゃん。いいから帰るぞ。」
立ってるのもやっとなのだろう。
ボーッとしたほの花は微動だにしなかった。