第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
「…浮気…?ほの花って女の彼氏が?」
先ほどまでほの花に対して死ぬほど嫉妬の目を向けていたと言うのに今は訝しげに見つめている。
オレがほの花にうつつ抜かしていたから少しばかり同情でもしているのか?
どうも先ほどから様子がおかしい。
「…バチが当たったのよ。天元を誑かしたから。」
「いやいや、どう考えてもほの花の彼氏のが先に裏切ってるだろ。出張と称して度々約束とかドタキャンしてたらしいぞ?」
「つまらない女なのよ。天元もやめておいた方がいいんじゃない?どうせ見た目しか取り柄がない女だからすぐに飽きるわよ。」
「おい…ほの花のことを悪く言うなら、容赦しねぇよ…?」
伊織に言っても仕方ないことだが、こちとら前世からほの花を好きだった筋金入りのほの花馬鹿だ。
どこぞの愚かな男がほの花を手籠にしたことすら腹立たしいと言うのに、浮気なんざしてほの花を傷つけるなんて許されやしない。
オレからしたらラッキーな出来事ではあった。
それは認める。
その男のしたことでオレにチャンスが回って来たと言うなら感謝だが、ほの花を傷つけて泣かせたことに関しては万死に値する行為だ。
「…ああ、そう。もうほの花にしか興味ないって言うのね。」
「…悪いがそういうことだ。恨むならオレを恨め。」
伊織に悪いことをしたのは変わらない。
だからオレがコイツに殴られる分は受け止めるつもりだ。
「……帰る。」
「お、、おい…伊織。」
話の途中だと言うのに突然、踵を返した伊織の腕を慌てて掴むが、すぐにそれは振り払われてしまう。
「…触らないでよ。私のことなんて好きじゃないんでしょ?」
「伊織、ごめん。謝って許してもらえるとは思ってない。だけど…」
「うるさい…!!放してよ!!」
納得してもらいたい。
ちゃんと別れないとほの花に堂々と告白できないと感じたから。
何とかオレは伊織に言質を取ろうと必死だった。
しかし、勢いよく腕を取り払われると震えながら睨みつけて来た伊織にそれ以上何も言えずに、彼女が走って行った方を見つめることしかできなかった。