第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
「伊織、落ち着け。オレのことは好きなだけ殴ってくれて良い。だからほの花を責めるのはやめてくれ。」
「私のこと馬鹿にしてんの?!どうせ隠れてコソコソ会ったりしてたんでしょ?」
「白状する…!だから…とりあえず落ち着け。」
伊織の怒りは収まらない。
そりゃァそうだろう。
伊織の気持ちが分かるほどオレは最低なことをした。
とにかくほの花のことをこれ以上悪者にしたくなくて、ひたすら頭の中で考えを巡らせた。
ヤっちまったことを言わなければ良い。
とにかくオレが強引に迫ったことが伝われば。
その一心だった。
「…三日前、偶然ほの花と会って、彼氏と行く予定だった映画に行くって言うから無理矢理ついて行った。」
「…映画…?」
「そうだ。その後、そこの駅で23時くらいまで飲んだ。…それだけだ。どうしてもほの花と一緒にいたくてオレが強引に迫ったんだ。」
「映画って…、この前彼女と会った駅の…とこ?」
てっきり掴みかかって殴られると思いきや、伊織は伺うようにこちらを見て来たので首を傾げる。
「…あ?ああ、そうだけど…。」
「へぇ…そう。何処に、ご飯行ったの?」
「…??駅前の焼き鳥屋だけど…、ほら伊織も連れて行ったことあるだろ?」
「…?!あ、あそこ…ね。」
なんだと言うのだ。
伊織の怒りのボルテージが急激に落ちた気がするのは気のせいでない。
諦めてくれたのだろうか?
それにしてはこちらをチラッと見ると少しだけ気まずそうに視線を彷徨わせた。
「…映画だけ?ホテルとか、行ってない?」
「ホテルなんて行くかよ。」
「…ふーん。そう。」
「あー…でも、この際だから言うけど、アイツの彼氏が浮気してる現場目撃しちまってよ。酷く落ち込んでた。」
「え…?」
ほの花からすれば、オレに抱かれたのは悲しみと寂しさによるものだっただろう。
だが、オレはそれにつけ込みほの花を手籠にした。
前世の時ですら気持ちがない時に抱いたことはない。
オレはちゃんと想いが通じ合ってからでないと抱かなかったのだから。
それでも、止まらなかった。
止まらないほの花への想いと情欲が頭では分かっていても体が止まらなかった。