第9章 『実家に帰らせて頂きます』※
「えええっ?!正気ですか?!宇髄さんは柱なんですよ?!そんな時間あるんですか?」
「時間は作るものだろ。」
いや、物凄く格好いいことを言っているが任務というのは急に入るもので結局のところ宇髄さんが決めることではない。
「俺からお館様に聞いてみるから今度お前が薬持っていくときに一緒についていくわ。」
これは…本気だ。
この人の中ではもうそれが決定事項で私の動揺している気持ちなんてお構いなし。その証拠に既に眠くなってきたようで大あくびをしている。
さっきまで目くじら立てて怒っていたくせに。
いや、こう言う強引なところは男らしくて好きだし、宇髄さんが付いてきてくれるならば無敵状態だろう。
鬼殺隊の''柱"がたかが継子の護衛のようなことをするのだ。ハッキリ言って私が産屋敷様ならそんなこと許せない。
ここに来るまでに三日ほどかかった。往復で1週間弱は柱一人が任務から離れるなんて死活問題なのでは…。
既にウトウトしながら抱きしめてくる宇髄さんの頬をガシッと掴むとむぃーんっと引っ張ってやった。
「やっぱりぃぃっ!!そんなの駄目ですーー!一人で行けますー!!それか正宗達…。」
「はいはい…上司命令が聞けねぇんなら今からあと三発ぶち込むぞ。」
「ぶ、ぶちこ…?!?!や、え、う、宇髄、さぁん…、考え直して…」
「おやすみー。また明日な?それか何だよ?ヤる気満々か?」
「………ひ、っ…!」
「よしよし、おやすみ。」
"ふぁあ…"というあくびが聞こえてきたかと思うとものの数分で寝息が聞こえてきた彼が本当に信じられない。
考え直してくれと言っても取り合ってくれないし、それどころかこれ以上言えばあのギラギラとした目に射抜かれて簡単に押し倒されてしまうこと間違いなし。
先ほど彼に何度も天国に連れて行かれたというのに目が冴えてしまって翌日、すっきりとした表情の宇髄さんと違い、私は寝不足でひどい顔をしていたに違いない。