第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
酔ってもいない。
本当に雰囲気に流されてしまったのだ。
でも、宇髄さんの言うように浮気されたからし返してやろうという考えは薄かったと思う。
そうじゃない。
私はあの時、暁のことは少しも頭になかった。
頭にあったのは目の前で私を抱いている宇髄さんだけ。
【よ!おはよ。あの後、大丈夫だったか?次はいつ会える?早く会いたい。オレも身辺整理してくるからそうしたらまた会ってくれ。】
宇髄さんは朝、身支度を整えると颯爽と帰って行ったけど、その翌日すぐにメッセージが来た。
それは昨日と変わらない熱量の宇髄さん。
私のことを本気で…想ってくれているのだろうか?
もしそうならば嬉しいけど…嬉しいけど…私はまだ暁に何も言えてない。
何も…聞けてない。
どうしよう、どうしたら良い?
彼女さんからしたは私は浮気相手だ。
浮気されたのだから咎められても仕方ない。
だから…暁のことも咎められない。
仕事に向かう支度をしながら宇髄さんへの返事を考えていると、もう一度スマホが震えた。
テーブルに置きっぱなしだったそれを持ち上げるとそこに表示された名前に目を見開く。
「…あ、暁…?」
それは一昨日、浮気現場を見てしまった彼氏。
一瞬、止まってしまったがすぐにそのメッセージを開いた。
此処で止まることは許されない。
私はもう事をシてしまっているのだから。
【ほの花、今日会える?暇だったら家行って良いか?メシ作って〜。ほの花の肉じゃが食いたい!】
それはいつもと変わらない暁だった。
陽気で快活な暁はいつも楽しい話をたくさんしてくれる。
初めてできた彼氏だったので、私は彼の話を夢中になって聞いてきたけど、宇髄さんと出会って彼とのセックスがあまりに甘くて気持ち良くて、そこに愛があったと言われてしまうと私の気持ちは傾いていた。
いつものような陽気なメッセージが今日はとても軽々しく見えた。
男性経験がお世辞にも豊富と言えない私でも、
宇髄さんとの始まりは絶対に頂けないものだ。
分かってる
分かってるけど
急速に惹かれていくこの想いを止める術が見つからない。