第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
『貴方のお陰で私は人を愛する喜びを知れた。温もりを知った。本当にありがとうございます。貴方は私の陽だまりだった。この手でいつも守ってくれて、愛してくれた。だから…私のことはもう忘れて他の人と幸せになって。』
まーた、お前かよ…。
毎晩毎晩よく飽きませずにオレの夢に出てきやがるなぁ…。
まぁ、良い体してっけど、顔は見えねぇし、一体誰なんだよ、ほんと。
だけど、今日は何だかいつもより靄がかっている情景が明るく見えた。
脳裏にふと思い浮かぶだけの姿だったのに、今日はやけに鮮明だ。
体に抱きついて離れないその女の髪は栗色。
やっぱり…
『やめろ、ほの花離せ!ほの花!!おい!!』
は?…ほの花?
ほの花って、ほの花…?
『天元…大好きだったよ。愛してたよ。私も生まれ変わったらあなたの陽だまりになりたい。』
そう言って見上げたその女の顔は真っ青だった。
間違いなく、そいつは…
「…ほの花…!!!」
そう、そうだ。
ほの花だった。
── ひょっとしたら宇髄さんが前世で好きだった人だったりして…!
ああ、そうか。
そうだったのか…。
目が覚めた其処は自分の部屋ではない。
ふわりと香るのはオレの大好きだった匂い。
「…お前、だったのか…、そうか…。」
あの日、オレの腕を治してくれて死の淵を彷徨った大切な大切な女。
体裁ばっかり気にして甘え下手だったけど、馬鹿みたいに甘味が大好きで豆大福なんて何十個も喰らう。
栗色の髪に長身でハーフだったことを気にしていたけど、今世でもそれは変わらない。
だが、その時よりもはるかに世に溶け込んでいた。
「…つーか、オレと出会う前に他の男のモノになってんじゃねぇよ…。…人のこと言えねぇけど…」
その時と違うのは処女を頂けなかったと言うこと
そして、今はまだ恋人ではないと言うこと。
ふと隣を見るとまだ寝ているほの花は何も身につけていなくて、オレが愛した痕がそこかしこに残っている。
「…ヤッ、ちまった…、けど…、もう思い出しちまったし、絶対ェ無理だからな。」
昨夜、押し倒す前ですらもう無理だったのだからその言葉は語弊がある。
ただ無理なのだ。
前世で死ぬほど愛した女と今世で再会したのだから。