第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
「本当に良いんですか…?映画代なんて余裕で超えてますけど…。」
「いいんだって。女に払わせられるかよ。気にすんなよ。こっちこそ気ィ遣って帰ろうとしてたところ付き合わせて悪かったな。」
「いえ…!そ、そんな!ありがとうございます!ご馳走様でした…。」
この人がモテるのは何となく分かる気がする。
先ほどまで物凄く強引だったと言うのに終わった瞬間、こんな風に謝ってくれるなんて緩急の付け方が絶妙すぎて、今やタジタジだ。
しかも、夜遅いから危ないと言う理由で今から送ってくれると言う。
強引で豪快なのにこう言うところがフェミニストでその違いに翻弄されてしまいそうだ。
「家はどっち?」
「あ、えと、此処から電車で3駅です。」
「お、何だ!オレ2駅だからめちゃくちゃ近いじゃん。じゃ、行こうぜ。」
まさか宇髄さんと家まで近かったなんて思いもよらなかったけど、家が遠いのに送ってもらうのはあまりに申し訳なかったので少しだけホッとした。
駅まで並んで歩いていると分かってはいたけど、自分が見上げるほど背の高くて大きな彼に居心地の良さを感じた。
元々170センチ程ある身長のせいで男の人に選り好みされがちな私。
何度となく『デカい女』と揶揄されてきたので、彼の体型は理想だった。
彼氏である暁ですら175センチほど。
ヒールを履いたら超えてしまうことが多いのでわざとペタンコの靴を履いてきた。
たまにはヒールも履いてみたいと思って、彼と会わない日だけ見繕ってお気に入りのヒールを引っ張り出してくる。
今日はそれを履いていると言うのにまだ宇髄さんの顔を見るためには見上げなければならない。
「…ん?どうした?」
「んえっ?!や、あ、えと…!!」
うっかり見上げるということが新鮮すぎてみすぎてしまった。
宇髄さんが私の視線に気づいてこちらを見た瞬間、恥ずかしくなって漸く下を見たが、あとの祭だ。
しっかり目が合ってしまったところを見ると私が見ていたのは一目瞭然。
今度は宇髄さんに見つめられているのがわかって穴が開きそうだったが、ポンと頭に感じた温かい感触に再び彼を見上げる。