第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
「ひょっとしたら宇髄さんの前世で好きだった人だったりして…!」
「…は?ぜ、前世…?」
「あ、ごめんなさい。そう言う知識は全く無いんですけど…。寝てるときって自分の意識よりも潜在意識かなぁと思ったんですよ。」
ほの花の言葉は意外にも論理的ですぅっと胸に入っていくようだった。
もし、それが事実ならば今のオレが分からなくても当然のことだ。
「…ごめんなさい。変なことを言って!あくまで私の想像なのでお気になさらず…!」
「いや、……そう、かもな。それなら…オレは前世でド派手に愛した女がいたのかもしれねぇな…。」
そう。
こんな風に状況も環境も全て捨てても欲しいと思ってしまうような女を昔も愛したのかもしれない。
──こんな風…?
(…はっ…、もう駄目だわ、オレ。)
目の前にいるほの花がニコニコと笑っている様がクソ可愛くて仕方がない。
オレはコイツと彼氏との仲も、自分と伊織の仲も全てぶっ壊してでも良いと思っているのだ。
昨日まではそこまで思っていなかった。
ほの花に会えば会うほど
顔を見れば見るほど
話せば話すほど
泥濘にハマっていくような感覚。
もう逃れられないと脳が言っている。
「…ほの花、ありがとな。まだ続くようなら薬もらいにいくわ。」
「ふふ。はい!そうしてください!待ってますね。…あ、いや、待たない方がいい、ですね!早く治ると良いですね!」
「おーおー怖い薬剤師がいるぜ。」
「い、今のは言葉の綾と言うものです!!」
小さなことでも笑い合える、ふざけ合える。
でも、そこに少しの違和感もない。
深みにハマると抜け出せない。
だけど、もう遅い。
オレは…もう抜け出せやしない。
「さ、プリン食ったら帰るぞ。送ってやるよ。」
「大丈夫です!!終電は余裕でありますので。」
「ばぁーか。オレが心配なの。メシに誘ったのはオレだからよ。ちゃんと送り届けるって。」
送り狼にはならない。
今はまだその時期じゃないってわかってる。
目の前にいる女をただ守りたい。
今はまだそばに置けずとも、その笑顔を守ってやりたい。
ただそれだけだった。