第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
──浮気じゃなきゃいいのかよ。
それはどう言う意味で言ったのか?
そんなの決まってる。
だけど、顔を引き攣らせたほの花にそれ以上突っ込んで言うことは憚られた。
「…ま、とにかく行こうぜ。オレ腹減ったんだよ。」
「え、ま、…!う、宇髄さん…!」
困惑するほの花だけど、何故こんなに遠慮なく接することができるのだろうか?
それを説明することはできない。
本能としか言いようがないからだ。
細腕を掴むと問答無用で歩いて行く。
もちろん行く先は空腹を満たすための場所。
「焼き鳥好き?」
「す、きです、けど、…」
「よし、じゃあうまい焼き鳥食わせてやる!」
"すき"
オレに向けられた言葉でないことくらい分かっている。
でも、ほの花のその言葉もこの手の温もりも妙に落ち着くんだ。
もう、いろいろ説明がつかない。
こんな気持ちになってしまうのは…
(…好き、なんだろうな…確実に。)
伊織の時とは違う。
100%
完全
完璧に
オレは心を奪われたと言っても良い。
チラッと後ろを向けば困惑したまま着いてくる栗色の髪に黒めがちの女。
白い肌が艶めかしくて、細い首筋には噛みつきたい衝動に駆られてしまうほど。
「…う、宇髄さん…!せめて、手を離してください…!これではいろいろと言い訳もできません…!」
「えー?何でよ。離したら逃げるだろ。」
「逃げませんから…!手を繋いでたら疑われても言い訳もできませんよ…?彼女さんを傷つけてしまいます。」
「…あー…、カノジョ、ね。」
ほの花が彼氏のことを持ち出してこないのは此処にいないから。
出張中でいないと言うことを知っているからだろう。
確かに伊織に見つかればオレはこの場で引っ叩かれる運命にあると思う。
でも、別によかった。
殴られても詰られても
それでもこの手を離すことの方がよっぽど嫌だったのだ。
だけど…、懇願するようなほの花に仕方なく手を離してやると幾分かホッとしたような表情をしてくれるので仕方ない…と彷徨わせた手を下ろした。
「…ほら。これでいいだろ?行くぞ?」
「あ、は、はい。」
手を離せば宣言通りちゃんと付いてきてくれるほの花に期待せざるを得ない。
ほの花もオレを意識してくれてると。