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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第9章 『実家に帰らせて頂きます』※




ほの花は分かってねぇ。確かに19年間嫁の貰い手がなかったと嘆いていたのかもしれないが、ほの花の魅力を縦寸がデカいことで誤魔化されてちゃんと見えていなかっただけだ。

町に出ればほの花の美しさに振り返る男がどれほど多いか。正宗たちを引き連れていたりすることで声をかける機会を失った男がどれほどいたか。


俺はこの数ヶ月でほの花と一緒に過ごしてそれを理解せざるを得なかった。継子と言うだけであればそんなことを気にする必要はなかった。
だけど今は違う。
自分の女が町に出れば声をかけられるほどの美人だったら心配になるのは当然のこと。
ほの花が浮気しそうとかそういうことじゃねぇ。
アイツのことを女として見る男が増えることに恐怖感がある。
それこそ一度抱いちまったから見る度に女度が増して色香を漂わせるようになっちまったし、今までと違い、ここには制約もない。
誰にも見つからないような山奥の陰陽師の里で数百人程度の人口の規模の中で過ごすわけじゃないんだ。


戦えるからとか返り討ちにできるからとかそういうのは大した問題じゃない。
誰にもアイツの魅力に気付いてほしくなかった。
これは惚れた弱みで、俺の我儘だということは十分わかってる。
それでもほの花を表にすら出したくないと願ってしまっていた。

だが、そんな独占欲に屈するような女じゃない。
腕の中でぐるりと体勢を変えると俺と向き合った。


「…ねぇ、宇髄さん。産屋敷様にね、体にいい薬膳茶飲んで頂きたいんです。でもね、ここら辺どころかこの国にはある一箇所を除いてないみたいなんです。」

コイツ、俺が断れねぇように今度はお館様出してきやがった。転んでもタダでは起きねぇ女だ。
顔を引き攣らせてる俺と違って、にんまりと笑顔のほの花は可愛い…


ちげぇ、嫌な予感がする。


「…私、実家に帰らせて頂きます!!」

「………はぁ?!?!」



ほらな。
俺の女は随分とじゃじゃ馬らしい。



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