第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
しかし、ほの花に会いたいという衝動が頭から離れずにいると、何の因果かすぐに会うことができた。
ほの花と街で出会ったのが土曜日。
僅か二日後の月曜日。
学校からの帰り道にオレの目に飛び込んできた栗色の髪に再び釘付けになった。
「…っ、ほの花!!」
今日は伊織がいない。
オレは迷わずにほの花を呼び止めると振り向いた彼女は思った通りの綺麗な顔で目を見開いた。
よく考えたらここで会う確率は高いかもしれない。ほの花が働いている薬局と学校は目と鼻の先。
今までなぜ会わなかったのだ?と思わざるを得ないほどにその距離は近い。
「宇髄さん…!」
この前は驚いた顔をして、若干困ったように笑っていたと言うのに今日はオレの顔を見た瞬間、花のように笑うものだから胸がドクンドクンとうるさい。
女なんていくらでも見てきたと言うのにこれほどまでに心臓を鷲掴みにされる奴がいただろうか?
視界に入れるだけで胸が苦しいほどに高鳴り、匂いを嗅げばめちゃくちゃに抱いてしまいたいと言う衝動に駆られる。
声を聴けばオレのためだけに囁いて欲しいと願ってしまう。
「お仕事終わったんですか?」
ああ、何でそんなに可愛いのだ。
そんな風にオレを見ないでくれ。
手遅れになってしまうではないか。
ほの花をオレのものにしたくなってしまう。
「…あ、ああ。そっちも?」
「はい!そうなんです!今日は今から映画に行こうと思って。」
しかし、ほの花の発言にオレは眉間に皺を寄せた。
(…そう言うことかよ。デートだから機嫌が良かったってわけね。)
理由がわかってしまうと先ほどの笑顔に腹が立ってきてしまうのは何とも自分勝手な話だ。
既にその先の言葉など聞きたくないと言うのにほの花の声を聴いていたい欲もあって二つの感情がせめぎ合う。
「…あー、そっか。デートね。」
「え?デート?」
「映画。彼氏と行くんだろ?」
「…1人で行きますけど?今日、平日ですよ?彼氏は仕事です。」
彼氏の話を出した瞬間、少しだけほの花の顔が曇った気がした。
それはオレに付け入る隙を見せたと言うこと。
後悔するならば
この時の自分の行動にしてくれ。
オレは目敏いだけだ。