第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
──宇髄さん!ありがとう!
そう言って笑った女は口元しか見えない。
栗色の髪のスタイルの良い女。
不思議な格好をしているが、白い肌が眩しい。
目を開けるとカーテンから差し込む太陽の光が枕元を照らしていた。
隣には伊織。
昨日、ほの花と会ってからまだ1日しか経っていないのか。
帰ってきてからも明らかに嫉妬をしている伊織がオレから離れることはなかった。
半ば強引にセックスを強要されたのは初めてのこと。
オレだって男だ。
強請られれば抱きたくなる……はずだったのに、なかなか勃ち上がらない己の肉棒にあれほど焦ったことはない。
思えば、ここ最近ずっとそうなのだ。
やはりメンタルが病んでいるのだろうか?
勃起不全というわけではないはずなのだ。
何故ならば、ほの花の顔が頭をよぎった瞬間、肉棒が硬くなり始めてギンギンに勃ち上がったのだから。
いよいよ看過出来ない問題だ。
伊織で勃たなくて別の女を思い浮かべて勃起したなんて正直、それこそ浮気だ。
何とか昨日は抱けたが、これから先、伊織を抱けるかどうか分からなくなってしまった。
脳裏に焼きついているのはほの花。
思い浮かべるのもほの花。
そこに伊織は全くと言って出てこない。
「…ん、天元、起きたの?」
「ん?あ、ああ…まだ早いからよ。寝てて良いぜ?オレももう一眠りする。」
「…抱きしめて…?」
「…ああ。」
伊織も薄っすら気付いているかもしれない。
オレの心が急速にほの花に傾いていっていることを。
だが、そうは言ってもほの花だって彼氏がいると言っていたではないか。
アイツの幸せを奪ってはいけないと思う一方、違う男に組み敷かれていると思うと怒りのような感情が湧き起こる。
オレだって恋人がいるから人のこと言えない。
それなのにほの花に男がいることが腹が立って仕方ない。
何故オレでないのだ?
他の男の下で淫らに乱れているのか?
あの綺麗な体をその男に見せているのか?
見たこともない筈なのにほの花の体が綺麗だなんて思うこと自体妄想甚だしい。
やはりオレはメンタルが病んでるのだ。
アイツとの出会いが運命的だなんて感じるのは痛い妄想だ。