第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
宇髄さんの彼女さんは私を見て明らかに敵意を向けているのが分かった。
でも、それは仕方ないこと。
私だって彼氏が他の女の人を呼び止めたりしたら腹が立つし、嫌な気分になる。
そんなことは分かっているのに宇髄さんが声をかけてくれたことがどうしようもないほど嬉しくて仕方なかった。
話しているだけで安心して、
見つめられているだけでどうしようもない胸のときめきが止まらない。
彼のその広い胸に顔を埋めたいだなんて良からぬ考えが浮かんでしまったことで私は早々に話を切り上げる。
2人の仲睦まじい姿を見ることも
この場で止まり続けて彼との時間を共有することも
どちらも拙いことだと脳が訴えかけているから。
逃げるようにその場を後にすると私の足は映画館ではなく、別の場所に向いていた。
もう1人で映画を見るような気分ではない。
頭の中に映画の内容なんて入ってくるわけがない。
正直、頭はぐちゃぐちゃだ。
どうしたいのだろうか?私は。
彼氏にデートをドタキャンされて傷ついたの?宇髄さんの彼女を見て傷ついたの?
自分の気持ちがわからない。
こんな気持ちになったのは初めてことで気分は下がっていくばかり。
こんな時に必ず向かうのは花が咲き乱れる公園だった。
落ち込んだ時や悩んだ時に必ず寄る此処は私のお気に入り。
ツツジが咲き乱れる頃に見つけたこの場所は何故か凄く落ち着く。
ここに来れば不思議と気分が浄化されるようだからすごく好きだ。
いつものように木陰のベンチに座ると葉っぱの間から仄かに見える光がキラキラと輝いている。
暖かな陽射しが私を包み込んでくれると宇髄さんに抱きしめられているような感覚になった。
「…っ、何考えてんの…?!」
誰に聴こえるわけでもない。
ただ自分に言った言葉。
でも、あまりの衝撃で言葉が出てしまった。
「最低…、私…。」
本当に最低だと思う。
期待していたのだろうか?『彼氏いる?』だなんて聞かれたから。
告白されたわけでもないのに。
なんて恥ずかしい女なのだ。
目をきつく瞑り、顔を覆うと脳内に滞留する不埒な考えを排除しようと躍起になった。