第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
「はぁ〜、疲れた…。飯ある?」
「あ、うん!あるよ。」
「じゃあ食いたい。」
そんな会話もいつもと同じ。
この後、ごはんを食べたら一緒にお風呂に入って、そのままベッドに流れ込むのもいつものこと。
たまに来ると私の作ったごはんを食べてくれるのが嬉しかった。
実を言うとお付き合いをしたことのある男性は暁ただ一人。
告白されたことがないわけではない。
一応、告白してくれた人は何人かいるのだが、どうも付き合う気にならなくて、受験勉強やら国家試験やら忙しかった私が初めての彼氏ができたのは社会人になったばかりの頃だった。
右も左も分からない私に男女交際について色々教えてくれて、キスもセックスも彼に教わった。
薬局でたびたびプレゼントをもらったり、声をかけられることもあったが、その度に『彼氏がいるので…』と断れるのがやっと"勝ち組"になれた気がして嬉しかったのを覚えている。
「最近、どう?なんか変わったことあった?」
「え?…あー…ううん。特に、ないかなぁ。暁は?」
「俺はさ、営業の仕事が忙しくてまた出張が増えそうだよ。なかなか会えなくてごめんな?」
暁が営業で忙しいのは仕方ない。
前から出張が多かったので不思議はない。
だけど、ちょっとだけ今日はいつもより寂しく感じた。
宇髄さんのことがあったからだろうか。
もっと一緒にいられたらいいのに…という我儘な感情が頭の片隅に顔を出す。そうすれば宇髄さんのことを考えずに済む。
それを振り払うように顔を上げると暁の唇が振ってきた。
「っ…ん…!」
「ほの花、シよ?久しぶりにほの花を感じたい。」
断る理由なんてない。
私と暁は付き合っているのだから。
彼のキスを受け入れるといつものようにベッドに傾れ込んだ。
性急に服を脱がされるのはいつものこと。
久しぶりに会えると思って買ったばかりの可愛いルームウェアにしたのに少しも触れてくれないことが少しだけ悲しい。
でも、与えられる温もりだけを信じていた。
私の彼氏は暁なんだから。
淫らな嬌声がなぜか虚しく感じたのはきっと気のせい。