第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
──天元…大好きだったよ。愛してたよ。私も生まれ変わったらあなたの陽だまりになりたい。
「っ、!!!?っ、ハァ…ハァ…また、かよ…。」
「…ん、…天元?どうしたの?」
ほの花と言う女と出会ってからと言うもの頻繁に夢に出てくるのは見慣れない服を着た栗色の髪の女。
顔は見えない。
でも、どことなくほの花に似ていた気がした。
今日も今日とて伊織とヤった後だっつーのに、ノコノコと空気を読めずに出てきたモンだから飛び起きる羽目になった。
(…勘弁、してくれよ…)
流石にこう毎晩毎晩出てこられたらたまらん。
夢に出てきた時は確実に勃起しちまってるし、下手したら25超えた大人が夢精してる時すらあるのだ。
慌てて股間を確認すれば、勃ち上がった肉棒にため息を吐いたけど、精液が飛び散ってることはなく、ほっと一息吐いた。
「…天元?」
「あ、あー…悪ぃ。変な夢見てよ。それだけだ。起こして悪かったな。」
「ううん。疲れてるんじゃない?夢見るって浅い眠りなんだよ。病院で眠剤とかもらったら?」
「…眠剤、ねぇ。」
正直、精神的には強い方だと思っているし、心療内科なんて自分が足を踏み入れるところではないと自負している。
だけど…薬がもらえるならば話は別だ。
左手の火傷は痕が軽く残ってしまうが、傷口はすでに塞がっていて痛くも痒くもない。
皮膚科の医者に薬出せって凄んだが、どうにも悪いところもないのに出す薬はないと突き返されてもらえなかったのだ。
どうにもこうにも頑丈すぎる自分の体が恨めしかったのがつい昨日のこと。
「しゃーねぇ、行ってくるか。最近変な夢見ること多いからよ。起こして悪かったな。寝ようぜ。」
「うん。ついて行く?」
「おいおい、ガキじゃねぇんだ。大丈夫だって。」
ガキじゃないからと言う理由は建前だ。
オレがアイツと顔を合わせた時の姿を伊織に見せることが憚られた。
きっとオレは情けないほど顔が緩んでいるだろう。
夜中でよかった。
今でさえ、会えるかと思うと顔が緩むのが抑えることができずにいるのだから。